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第153話

アンドレの回です。

変な天気だな。お兄様が今領主様に会いにいっているけれど大丈夫だろうか。


アンドレは館の中の1室の食堂で昼食を取りながら考え事をしていた。


モナは今何をしているだろうか?昨日は楽しかったな。明日お兄様とモナとお祭りに行っている時に今みたいな雨が降らなければいいけれど。お、これは美味しい。


「これはなんと言う料理と言っていたっけ」


「そちらは、“アッロスト・ディ・トンノ・コン・マルメッラータ・ディ・チポッラ・ロッサ”ですわ。」


「・・・・・・えっとアッロスト・・・?」


「意味はマグロのローストと赤玉ねぎのマルメラータ添え、です。」


「リネアはよく舌も噛まずに言えるな。すごい。」


「恐れ入りますわ」


「今、シェフは?」


「デザートを作っているかと。」


「今日のデザートはなんだ?」


「坊っちゃまも最近はよく召し上がられるので、デザートも少し多めをご用意すると申していました。モナちゃんが言っていたプリンアラモードとアップルパイのアイス添えの2つをご用意するそうです。」


「昨日はカードゲームしながら食べたバターたっぷりのクッキーは実に美味しかった。ドライフルーツの入ったものや、アーモンドの入ったもの、少し辛いジンジャークッキーもよかった。色々な味があったからお兄様も俺もモナもあんなに山積みだったクッキーがあれよあれよと平たくなっていく様は凄かったな。」


モナに出会ってから俺の生活はガラリと変わった。最初はただプントの知り合いの食堂で庶民の味を試しに食べる、それだけのことだったはずだったのに、店の外にいたモナと口論の大喧嘩。今考えると俺はなんて嫌なやつだったんだろうと、どこかに逃げたくなるし、穴に埋もれたくなるし、どうしたらいいのか全くわからなくなってしまう。


モナといるととても楽しい。時々コイツはなんてバカなんだろうと思うような行動をするかと思いきや、そんなことも忘れそうになるくらい突拍子もない新たな何かを次々と提案してくる。そしてその提案は、今までに聞いたこともない遊びや文化や物語。アイツの頭の中は知識でいっぱいだ。


勉強とは全く違う所でモナの頭は使われている。あんなやつは今まで見たことなかった。王城にも俺の年に近い子供はいる。城勤めの子供達が集められるお茶会がたまに催されるからだ。俺は・・・年々参加しなくなっていっていた。体が弱くなっていっていたからだ。


でも今にしてみれば回りからのプレッシャーで胃が収縮してしまったりで、食欲が落ち、睡眠の質も落ち、自分で自分の首を絞めていたんだということがわかる。前のシェフ自体が最悪だったからというのも大いにあるけれど、周りは誰も気づかなかった。


今のモナぐらいの頃から具合が思わしくなかったからかれこれ三年も俺は時間を無駄に過ごしたことになる。とてももったいないことをしたな。


ミギィさんとレフティさんはモナの保護者だがとても信頼出来る人達だ。モナは親と別れてしまって一人になってしまったらしくそこを親代わりになってくれた、らしい。モナは拐われて来たところを逃げ出しあの2人が保護している状態だと聞いた。


よくお兄様や兄君(あにぎみ)、姉君やお姉様達がそういう政治や治世(ちせい)の話をされている時、乞食(こじき)や物乞いの貧民や孤児の話など小耳に挟むことがあった。ただ俺はまだ8歳だから詳しい話しは混ぜてもらったことがない。


だけどちゃんと聞いておけばよかった。モナのように親をなくしても強く生きている人がいるだなんて知らなかった。勝手な想像だったけれどああいう貧民はガリガリに痩せた俺よりももっと痩せているイメージがあったからだ。


モナは全然違って裏切られた。そしてそのよく回る頭と口で俺はモナに興味をもった。いや、持たない人はいないはずだ。俺が5歳の頃も頭がよかったけれど、モナはそういう頭の良さと違う分野の頭の回転の早さだと感じた。



明日も更新します。明日は・・・遅くならないようにがんばります。

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