第134話
お守り、それは願いを込めた物。
「同じ相手に2個は多くない?」
「知ってる!しかも似たようなペンダントいや、形は違うし、1つは単なる気休めでもう1つはちゃんと効果があるタイモちゃんの特製!」
今更のツッコミありがとう!でもアンドレはそんなツッコミもせずニコニコと受け取ってくれたよ。“俺ってそんなにお守りないとヤバそうに見えるのか!?”とか思ってそうな素振りも見せてないから多分大丈夫だと思う。思いたい。思わせて。
家に帰ってきて家で待っててくれたみんなにただいまおかえりの挨拶をして、今日はこんなことしたよ~ってミギィさんとレフティさんとお喋りしながらディナーをして、自分の部屋でようやくくつろいだと思ったら、テンクウちゃんからのツッコミナウ。
ベッドの下でネコの集会ならぬ、モナちゃんと動物!?の会。さみしくなる暇などない、この密集度合いよ。
「アンドレはペンダント以外の身につけてくれそうなものが無い気がしてペンダントになっちゃうんだよね」
アンドレのこと一応友達になったとは思うけどそんなに知ってる仲とも言い難い。大人だったらネクタイピンとかディオさんにあげたカフスボタンとか選択肢が広がるけれど、アンドレはまだ子供。8歳が毎日持つものってなんぞや?ハンカチ・ちり紙・おやつは300円までですよ?それは遠足。チガウチガウ。
最初のペンダントは指輪だけをあげたかったけど指輪自体が大人サイズしかなかったから仕方なくネックレスチェーンを別に買って組み合わせたのだ。ちゃんと予算内で頑張ったとも。アンドレが喜んでくれたら嬉しいなと思って買った。
今日渡したそれは急いで作ったし元からそれっぽい形だったから!なのだ!うむっ!
「うん、問題ない!モーマンタイ!」
「モーマンタイ?」
「もーまー」
「モーマー」
「もーまんたーい?!」
ニャゴニャゴうにゃうにゃ猫達の合唱。
「シーッ・・!あんまり騒ぐとミギィさんとレフティさんに怒られちゃうよ」
「だってお祭り楽しみだニャー」
「もう飾り付け終わってたニャー」
「あの毒スープの男の子も見かけたニャー、店主も元気そうだったしお祭りで出店するみたいだからお祭りの時は辺りを警戒するにゃー」
「ラジャー!」
「「ニャー!」」
「毒スープ・・他に言い方・・・そういえば名前も聞いてなかったかも?」
ネコさん達が色々な情報を飛び交わせ、私は耳を傾けたりたまには意見を交えてみた。ネコさん達によるとお祭りの準備はおおむね終わったらしい。お祭りは商店街と中央公園で行う。メインイベントのほとんど中央公園内らしいのだけれど、商店街内もいつもより華やかに賑わうのだそう。異世界のお祭り楽しみ。
「ボクももう毎年の事だからモナちゃんを案内してあげるね!」
「テンクウちゃん紳士!」
さらさらなのにもっふぁもっふぁのゴールデンレトリバーのようなテンクウちゃんに、むぎゅっと抱きついた。
「えへへへへ~」
「テンクーおにいちゃん、ぼく、わたしも案内して~~」
「いいよ~~~!」
フテゥーロちゃんがテンクウちゃんをおにいちゃん呼び!?いつの間にこんなに仲良くなったんだ!?
「フッ、わかってねぇにゃぁ~、ネコの俺様達が一番この街を網羅してんにゃぜ~?そんなイヌッコロよか、こっちに頼んだ方が得にゃのににゃ~?」
「おおお!?」
ビャッコくんがこともなげに言った。
「ピィピピピぃ、ピピピィピーピーピー」
「ん?」
「モナママあのねあのね、ネコは気まぐれ・気分屋だから案内には向いてなさそーって言ってるの」
「ちゃっこいウサギィィ!テメーやるのか!?」
「ピピピィィィィ!?!?」
「ちょっとちょっと部屋で暴れまわらないで~!?」
私の周りを円を描くようにそりゃあもうドッタンバッタンドッタンバッタン!
「ぐぉらぁー!モナちゃんの部屋でうるさくしとっだら、外に出すべー!?いいかーー!?」
階段の下からレフティさんの怒号が。ちゃらららっらら~。効果は抜群だ!キュッと身を縮めたり、カタカタ震えたり、みんなは静かになった。私はこの静かになった空気を壊さないようにいつもよりも声を何段階も落として、静かーにみんなに話した。
「みんな、シーーーッ。ね?レフティさん怒ると怖いから、静かに喋ろうね。」
「おやびんったら子供じゃにゃいんだから~」
「にゃにぃ!?」
「アタチはずっと静かに喋ってたのよ」
「パパクリャメリラーケ」
タイモちゃんと白いウサギちゃんはとばっちりだと怒っている。ははは。面目ない。
「この子に名前付けて欲しいのよ。アタチこの子気に入ったのよ。」
タイモちゃんはよっぽど白いウサギさんを気に入ったようで私が留守の時から今の今まで、白いウサギさんとずーっとお喋りに夢中。名前かぁ、フテゥーロちゃんの名前決めるのもかなり時間かかっちゃった私は名前決めるのヘタッピ人間。うーん、困った。
「モナママあのね、ぼく、わたしね、モナママがウサギさんに付ける名前もう、わかってるの!」
えっ、なにも考えてない私の考えを読む!?だと!?なんという高度テクニック。名前の通り未来を見据えているのね!?(困惑)
「なになに、どういうのだと思ったの?」
「あのね~ゴニョゴニョゴニョゴニョ」
「なるほど!それだ!フテゥーロちゃんの正解!」
「やったぁ~!」
いや、全然思い付かなかったからむしろ私がありがたや~って感じですよ。フテゥーロちゃんは未来で私に出会ったと言ってて、私と喋らなければこの世界では一切得られない情報がポンコロポンコロ出てくる子になってしまっているのである。
つまり、フテゥーロちゃんの考えは私の考えも同然なのだ(極論)
「ピ?」
「パトフェレッソ?」
「白いウサギさんの名前はツキノさん。ツキノさんです!」
「にゃ~いい響きにゃ~」
「おめでとう」
「よかったのよ~!」
ええ、おわかり頂けただろうか、ツキノ、ウサギ、ツキノウサギ、月のウサギ、月野うさぎ、月に代わってお仕置きよ!セーラー●ーンから取りました!フテゥーロちゃん、最高です。
「ねぇねぇそーいえば、モナママの世界のお祭りってどんなの~?」
「あっボクも気になるー!」
「俺様にゃって是非聞かせて欲しいぜ」
「なになに面白そうなのよ?」
「ピィーー」
「ルッソペラドッタ?」
「みんな!シーーーッだよ!静かにしてくれたらお話するね。」
私はベッドに上がり込み、モナちゃんの集会ではなく、パジャマパーティー的な装いに変わってオモチャのチャチャチャとか、キラキラ星とかでも口ずさみたくなるような楽しい夜を過ごしたのだった。
次回更新は21日予定です