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第133話

「うわぁ!?」


「なんだなんだ!?」


夏の夕暮れに咲くハトの雄叫び。


「ぽろっぽーーーーーーー!!!!!」


私たちの部屋に待機していたメイドさん達が腰や足首から武器を取り出す・・・え!?武器!?!?


「「クセ者だ!出合え出合え~~~~ぃ!!」」


メイドじゃなくてSP(身辺警護)さん達の間違いでは??ハトは目をギラギラさせた女性達にビビったのか颯爽と逃げて行った。一体なんだったんだあのハト。


「す、スゴい・・・」


「リネアには今後とも頑張ってもらおう」


ディオさんとアンドレの称賛。そして疑問。


「なんでリネアさん??」


「何かありましたか!?」


リネアさんの噂をしたらリネアさんがすっ飛んで来た。ユーグリッドさんが今、めちゃんこビクッと跳ねた。リネアさんは鬼じゃないぞユーグリッドさん。


メイドさん達が武装解除してハトを追い払ったことを伝えていた。ふむ、なんとなくわかったぞ。リネアさんの忙しいって言ってた仕事ってこれの事だ。・・・うん、スゴい。そんなの教官じゃん。はわわわわ。


「驚かせてしまいましたね。あのハトは最近この館をウロウロしているハトなのですわ。窓に近づけてしまい申し訳ありませんでした。」


大事(だいじ)が起こらないのはみんなのお陰だよ。ありがとう。」


リネアさんとディオさんのこういう姿を見ると、侍従関係ってカッコいいな~って思ってしまう。憧れてしまう。い~~なぁ~~~。襲われるのはイヤだけど。







『くっ、(われ)ようやく(あるじ)になりうる素晴らしき素質の持ち主を見つけたのに、近づくことが叶わないとは・・・諦めん、諦めんぞおおおお』


逃げ出したもののハトのタイインさんはまだ館の近くをウロウロしていた。


『しかしあの“冥土(メイド)”とやらは恐ろしい。静かになるまでまた少し待つとするか。』










ハトの騒動も落ち着き、もう帰る時間だ。


「今日はこの館にお誘いいただきありがとうございます!」


ペコリーヌ。


「来てすぐに渡せば良かったんだけどついつい楽しくって帰る前になっちゃったね、これ、アンドレにプレゼント。」


「これは?」


「お守り。」


タイモちゃんの毛で作った特製のお守り、とは素直には言えないけれど、まあ、お守りだ。うん。もしフテゥーロちゃんの言う通り、もし魔王になりそうになったとしても助けてくれる。らしい。効果はなにかが起きないと私にはわからないけれど、テンクウちゃん達のお墨付きの物だから、そんじょそこらのマガイモノのお守りと訳が違うんだからね。


「すっっっごいイイヤツだから、肌身離さず着けてね」


アンドレの顔が紅色に染まっていく。笑顔とも言えないかすかなハニカミ具合が愛おしい。“夕方マジック”的なアレかな。日に日に可愛くなっていく気がするこの男子。


「ありがとう」


「こっちはディオさんに。ちょっと時間も材料もあまりなくなってしまって小さいんですけれど。」


「え?私にもあるのかい?これは、カフリンクスだね」


カフリンクス、日本ではカフスボタンと呼ばれるソレである。袖口に付けるボタン代わりの留め具。


「俺にはねぇのかよ」


「朝急に来た人の分まで用意してるはずないでしょーが。」


ユーグリッドさんは図々しいというか、ちゃっかりというか、貰えるものがありそうなら貰っておく貧乏性とでも言うのか、熊獣人なのに威厳など消え失せてしまう庶民さよ。


「壊れそうに見えたけれどかなりしっかりしているね」


一見飴細工だからなぁ。


「モナ!ありがとう。大事にする!これだとモナから貰ったお礼になってしまうな。ね、お兄様。」


「ふふ、そうだね。・・・モナちゃん、今日は来てくれてありがとう。こちらは本日来れなかったお二方に渡して欲しい。そしてそちらは今日のお礼だ。アンドレと友達になってくれてありがとう。私の悩みを聞いてくれてありがとう。これからも仲良くして欲しい。」


大きい箱はミギィさんとレフティさんの代わりにユーグリッドさんが受け取った。小さい箱は私の腕に収まった。箱が揺れるとカラコロと音がした。この音はきっとサイコロだろう。それ以外は開けてみないとわからない。


「またいつか手作りの人生ゲームをやりに行ってもいいかな?」


「大歓迎です!!」


私の握りコブシに気合いが入りすぎてディオさんもアンドレもユーグリッドさんも笑いが漏れた。ふはっと軽く雲みたいな笑いがいつまでも舞い、ここに居たくなる、そんな空気になっていた。


「・・・・またお祭りでね」


ちょっとだけ寂しくなった。


「また連絡するからな!」


「えへへ、待ってる~」


来たときと同じ馬車に乗り込んで帰路についたのだった。












「行ってしまいましたね」


「ああ。あの子はとても不思議な子だね。」


「不思議ですか?」


「居てくれるだけで安心してしまいそうになる。」


「お兄様もですか!俺もモナがいると安心します」


「私たちの天使かもしれないな」


2人は貰ったネックレスとカフリンクスを見つめて馬車で帰ったあの女の子を脳内に思い描いた。


仕事がここ最近忙しくて疲れがとれなくて次回更新どうしよう状態です。とりあえず、18日予定です。でっきるかな~。でっきるかな~。

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