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第130話

「いやはや、白熱してしまいました」


「俺こそ付き合わせて悪かった。お兄様とモナは怒ってないだろうか」


「ディオ様もモナさんも休憩なさっておいでです」


ユーグリッドが頭をぽりぽりと掻きながらアンドレと一緒にプントの後ろからついて行っていた。


「おや?」


向かう先の部屋からメイドが1人出てきた所だった。プントがそのメイドを引き留めるとメイドの手には2通の手紙を持ち合わせていた。


「なるほど、急ぎの手紙を頼みますよ」


「はい!」


手紙を持ったメイドは急ぎ足で去っていった。


「プントどうした?」


「坊っちゃま、ディオ様に直接お聞きになる方が宜しいかと。」


部屋まで目と鼻の先だ。


「わかった。」


入り口に着くとそこから見えたのはモナとディオの背中で、ちょうどモナがディオに耳打ちし、内緒話で盛り上がっていたようだった。


(お兄様もモナも笑顔なのに、俺、モヤモヤする・・・?)


アンドレは質のいいシャツの腰辺りを無意識にシワになるほど握っていた。後ろから見ていたユーグリッドとプントは、おや?と気づいたがあえて口には出さなかった。


「あっ!アンドレーお帰りっどっちが勝ったの?」


モナがアンドレに気づくとアンドレの手は緩んだ。


「お、俺に決まってる。と、言いたかったがユーグリッドの方が上手かった。悔しいが負けは負けだ。次は勝つ!な?ユーグリッド!」


「はい、次をお待ちしております」


「おお~、アンドレとっても男らしい!」


「ほんとか!?ふふん!俺も日々成長しているからな」


「坊っちゃま、ユーグリッド様、こちらのお席にどうぞ」


立ち話もなんだからとプントと執事が席を勧めた。


「お兄様達は何をして待っていたんだ?なにやらメイドが手紙を持って出たようでしたが。」


「ああ、アンドレ。二転三転してしまって申し訳無いのだけれど、私の出立(しゅったつ)も遅らせることにしたよ。少しばかり領主様と話すべき事が出てきてしまったんだ。」


「へ?」


「先ほど持たせた手紙は王都への帰りが遅くなるという通達と、領主様と会える日程を調整して欲しいという嘆願書だ。」


「ということは?」


モナがアンドレに聞く。しかしアンドレの理解が答えに到達していないためモナと同じセリフを繰り返した。


「と、いうこと、は??」


「アンドレ!お祭りみんなで行こうね!」


「!!」


ふはっ!とアンドレの顔は一気に高揚した。


「いいいいいいいのですか!?!?」


「この街のお祭り楽しみだね」


「はいっ!俺、おれっお兄様とお祭り、うううう嬉しいです!」


2人ともニコニコしている。うんうん!私、良いことした!まあ領主さんが反対しなければこのままディオさんの問題は片付くだろう。ディオさん自身も私の話聞いてアッて恥ずかしがっていた。何を提案したか?簡単なこと。


結婚ではなく養子縁組。つまり領主様の息子になってその娘さんとは兄妹の関係になればいい。それだけの話だ。そうすれば領主様の跡継ぎはディオさんのまま進められるし、領主様の娘さんも想いあってる男性と結婚出来るという寸法だ。


・・・その男性が跡継ぎになりたくてという話がもし出たらこじれる可能性も無くは無いけど、ディオさんが調べた限り娘さんはそちらの男性宅に嫁ぎたいと言っているそうなので、大丈夫だろうとも言っていた。


領主様の娘さんも想ってる男性宅に嫁ぎたいって言ってるのに無理やり家の利益の為だけに強制的に縛り付けられたらそりゃ怒るよなぁ。ははは。私もその当人だったら怒髪天(どはつてん)だもの。領主様、悪い人じゃないんだろうけど考えが足りないから領主には向いてない人間なんだなー。今まで大きな問題が起こっていないのが奇跡だよ、ほんと。


「おや、もうお昼でしたか。アンドレ、モナちゃん、予定していた遊びはまたあとでにしましょう」


メイドさんがプントさんに、プントさんがディオさんに言伝てを伝えていた。シェフからお食事はいつ頃に致しますか?との確認だった。もちろんディオさんはこの後すぐに向かうと返答しましたとも。ええもうシェフってばタイミング良すぎだ。お腹空いたよ!


アンドレとユーグリッドさんは部屋に来たばかりだったが椅子から立ち上がり、食堂室にみんなで移動になった。


・・・なぜか私の手はアンドレに握られながら歩いている。アンドレを不思議そうに見上げた。


「俺はカッコいいお兄ちゃんだからな、連れていってあげるからな」


なるほど(笑)


「ありがとう」


とりあえずお礼言っておく。アンドレの館だから私道わからないのは事実ですし。お兄ちゃんをやってみたいお年頃か。ふむふむ。


「いや、俺の方こそ。あのな、そのな。むぅぎゅ・・・ありがと。」


口から変な音聞こえたけど大丈夫?最後はもう声が小さくて小さくてギリギリ聞こえるありがとう。アンドレは恥ずかしがりやだなー。スレずにこのまま大きくなるんやで(謎目線。)


「お待ちしておりマーシタ!」


「あっシェフー!こんにちはー!」


こざっぱりした小綺麗なジャックスパ●ウ!喋り方は遊●王のペガ●ス。改めて濃いが渋滞してるなー。


「モナムー!」


「・・・私モナだよ」


急になんぞやジャックスパ●ウ。


「ワタシからの愛称デース、ダメでーしタか?」


「だってなんか恥ずかし、くない?ね?アンドレ?」


横を向くとキリッとしたアンドレ。あれ?


「モナムー、いい響きだ!」


えええええ。


「やだ!アンドレはモナムーってぜっったい言わないで!」


発音とアンドレの生真面目さが合わなすぎて鳥肌立つよ!?


「ワタシは良いでースカ?」


「シェフは、うーん。少し恥ずかしいけど・・まぁ、いいよ。他の人はダメだよ!」


「えええ~俺も言いたいぜ~モ~ナ~ムぅ~」


ユーグリッドさんが分かりやすく遊び始めた。


「モナママ、モナムーなの?」


「私も呼んでみてもいいだろうか」


いやいやいやいや!?なんでみんな肯定的なのさ!?!?


「シェフ!お腹空いた!!」


モナムーは忘れてくれたまえ!!!南無三!






次回は6日予定です

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