表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
135/463

第127話

「そうですよ、お二方共是非この街のお祭り見てから帰って下さいよ。ああ、カメーリャ団長に護衛依頼出してますよね?王都に比べたら規模は小さいですけど華やかで楽しいですよ」


ユーグリッドさんナイスアシスト!私も段々とお祭り楽しみになってきた。


「ああ。なのでアンドレは祭りの後に帰路に着いて貰おうと思っていてね。」


えっ?


「ですからお兄様も」


「早馬を出して近況は報告したけれどアンドレは休暇、私は視察だ。私は帰らないといけないよ。」


そ、そんなーーー!?


「ほらアンドレ遊戯室で遊ぶんだろう。ここで時間がつぶれてしまっては勿体ないよ。さあいこう。」


お祭りの話はこれでおしまいだとでも言うようにディオさんは私達を遊戯室に移動させた。移動中にユーグリッドさんがこっそり話しかけてきた。


「嬢ちゃん、なあ、もしかしてもしかするとあの2人は前もって祭りの日程とか知らなかったのか??」


「そうみたいだよ」


「マジかー。毎年のことだから今回視察に来るって聞いてた時から祭りにも顔を出すとばかり思ってたぜ。俺も書類に忙殺されたけどカメーリャ団長に話がいってんだとばかり。祭りの開会式の挨拶とかして貰えたら箔がつくしこの街にとってはいいことのはずなのに・・・まあ、仕方ねえか。騒ぎがあったもんなー。」


「騒ぎが無くても知らされていなければお忍びで楽しむことも出来ないよね。」


「そうだなー。」


ユーグリッドさんも口には出していないが、領主様の管轄だろうにとわかって呆れ顔がチラッと覗いた。でもそこは大人。仕方ないから忘れとこうと切り替えたらしい。だよね。これが普通の反応。


私達の前を歩くアンドレがな明らかにしょぼーんとしている。あと私から説得しよう。うん、だって2人にお祭り楽しんで貰いたいもん!私もこのままじゃモヤモヤしながら祭りに行くことになりそうだもん。


♪涙も汗も、若いファイトで、大空に遠く、叫びたい♪アタック~アタック~ナーンバーワーンアタック~アタック~ナーンバーワーン♪


「ここが遊戯室だよ」


先に向かったメイドさんがドアを開いて待ってくれていた。ディオさんが立ち止まり私達を遊戯室に招き入れた。遊戯室は館の外観では想像出来ないぐらい暗かった。暗いといっても明かりが無いわけではないしむしろ今はまだ朝だ。日が入る。


何が暗いかと言うと壁に天井に椅子に机、全てがダークブラウンなのだ。白っぽい家具がほぼ無い。シャーロックホー●ズの世界観で紳士が葉巻吸いながらダーツやカードゲームやビリヤードやりそう。


「なんかむあっとした匂いがする?」


たばこっぽいような、木の香りのような?


「元々遊戯室は子供の遊び場ではないからね。壁に煙やお酒の匂いが染み付いてしまっているのさ。」


・・・よく見たらビリヤード台みたいなやつ、カジノの掛け金置く台じゃないか?はわわわわわ。あっちにチップらしきものが、ちょ・・台の上が私の身長だと見えないけど、遊戯室マジか!・・・あの黒い台は何だろう。机みたいに4本足がついてるけど台の上が傾斜がついていて机にしてはかなり使いづらそうな。


「モナもあれが気になるか?」


アンドレがわくわくしている。フテゥーロちゃんは私の肩でずっと静かだ。と、思ってたら鼻のありそうな所にシワがよってた。この部屋の匂いがくさくって変顔になってしまってるみたいだ。


「あれってなぁに?」


「パチンコ台だ!」


えっ。パチンコ?って攻撃する用のパチンコじゃないよね?遊戯室なのに。ってことは、パチスロの方のパチンコ?え??


「プント!近くでみたい!」


「では椅子をあちらまでお持ち致します」


んえー、子供にパチンコって・・・と、思っていました。現物見たらなんのその。これって小学校とかの工作の時間とかで釘とかで作ってビー玉とかを打って遊んだことのあるあのおもちゃだ。


ピンボールとかスマートボールとか言ってたような・・・。つまり現代のパチンコとは全く違うものである。まあここまで凝った作りのピンボール台ならこの世界のパチンコ台と言ってもいいのかもしれないけれど。


「見てくれ、ここに玉が収納されているんだぞ。玉は5つだ。5つ分を1つずつ打って手に入れた点数を合計して競うんだ。あの黒板に点数を書き込むらしいんだ。」


教えてくれた黒板には大分前に書いてあっただろう点数と名前が若干、いや、もうほとんどチョークの粉が落ちてしまってほぼわからない。


「アンドレはやって書かないの?」


「お、恐れ多い!」


なにがだ。わからん。こんなに台を見つめてこの台が好きなんだろうな~。ってことしかわからんよ。


「いつもここの館に館に来るときは大人が近くにいるなら、触って遊んでいいよと言ってはいるんだけれどね」


「お兄様が遊んでいるところを見ます!」


触れよ!


「壊したくないからな」


そんなに!?玉を握ったら性格が変わるタイプなのかな。


「遊びに気を使いすぎでございます」


プントさんも呆れてるよ、アンドレ!


「えっじゃあじゃあじゃあ、俺やってみてもいーっすか」


見てただけだったユーグリッドさんがもろ手を上げた。


「えっだっ」


「いいよ」


「なっのっ」


「うっし、何点取れるかな~」


アンドレがダメって返事をする前にディオさんがOK出してしまった。笑うしかない。わらわら。アンドレはプントさんにひょいッと持ち上げられ椅子はメイドさんがずらし、そこにまたアンドレがトンと乗せられ、ユーグリッドさんが台の真ん前に。


「ず、ずるいぞユーグリッドぉぉ!」


めちゃくそ悔しそうなアンドレが可愛い件。だから君もさっさとやればいいのだよ。ディオさんも微笑んでますけど、うっんんん、カッコいいなぁ。(真顔)

次回は28日予定です


「だって涙が出ちゃう、女の子だもん!」

アタックぅ~アタックぅ~ナーンバーワーン♪


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ