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第125話

「おはようございます。今日はよろしくお願いします」


朝からドタバタしたけど支度もちゃんと整ってお迎えに来てくれた馬車に乗り込んだ。馬車というと昨日アンドレが乗ってきた四角い箱状の対面式のソファがついてるものを想像したが、もっと気軽に乗れる浅草とか京都とかの観光地で走ってる人力車タイプの、屋根がついていて壁が無い馬車がお迎えに来た。


「ああ、よろしく。まさか俺も行くことになるとはな」


「ちゃあんとモナちゃんを見守るんだで。」


「んだよぉ、アタイらがいないからってあんまし気を緩めてたら、プントからチクってもらうからねぇ」


「うっわ、こええ。」


「もう、ミギィさんもレフティさんもユーグリッドさんのことイジメちゃダメっ!」


「イジメじゃねぇべ。牽制だべ」


「んだんだ。アタシら仕事で行けなくなっちまったからな。アタシらの代わりならちゃあんとやってもらわねぇと。」


「わぁってるよ、任せとけって。」


「「ほんとぉかぁぁぁ?」」


ユーグリッドさん大人なのに本当に2人ともユーグリッドさんに対しては子供扱いしていて、むしろそれでどうして頼もうと思ったのか不思議だ。そんなに牽制するなら頼まなきゃいいのにってぐらい。って、そんなことしてたら時間に遅れちゃう!


「もうっ!御者さん、出発してくださいっ!」


「「ああっ、モナちゃぁぁぁん!」」


ガラガラガラと動き出した馬車に向かって“楽しんでくるんだで~”と聞こえたので軽く振り返って手を振った。


「ごめんね、ユーグリッドさん」


「あの2人はアレが普通だぞ?お嬢ちゃんが気にすんな。俺は大丈夫。慣れてるからな。」


「そう?気にしてないならいいんだけど。」


「ハッハッハッハ」


馬車はガラガラガラと音を立てて走った。今日は天気もよく風が気持ちがいい。通り過ぎる木々も日の光を浴びてキラキラと輝いて見える。


「お外今日はキモチいいね~」


「そうだね~」


テンクウちゃん達は今日はお留守番だ。ミギィさんかレフティさんが行ければ誰かひとりふたりぐらいとも思ったけれどさすがにユーグリッドさんにテンクウちゃん達を見ていてもらったりは、むしろテンクウちゃん達が気疲れするみたいなので、お留守番。フテゥーロちゃんはついてきた。


「本当に喋るんだな。その毛玉。」


「ぼく、わたしの名前は、フテゥーロちゃんだよ!モナママにつけてもらったの。フテゥーロって呼んでね。」


「ママねぇ。」


ニヤニヤされた。2人に怒られるのはそういう所だと思うぞ、ユーグリッドさん。軽くおしゃべりを楽しんでいたらあっという間に時間が過ぎたようで、馬車に揺られていたら目の前に立派な建物が見えてきた。大きな塀の先に立派な門。ちょっと古そうだけど手入れがされていて立派に見える。


「思ってたより近かったな。歩いてこれる距離だ。」


ユーグリッドさんには近いだろうけど5歳のこの小さな体では遊ぶ体力がなくなりそうな坂道があったから私は遠慮させていただきます。


「あ!アンドレ!ディオさんもいる!」


門から少し離れた所に邸宅があった。玄関まで迎えに来てくれた。嬉しい。ヒヒンと馬が鳴いて馬車がゆっくり止まるとユーグリッドさんが先に降りて私をおろしてくれた。


「アンドレ、今日はお招きいただきありがとうございます」


ペコッと頭を下げた。


「ああ、楽しんで行ってくれ!いっぱい遊ぼう!」


「ディオさん、今日はお邪魔させていただきます」


「いいや、こちらこそ来てくれてありがとう。モナちゃんが来るからと久しぶりに遊戯室の空気を入れ換えることもできたし、こちらとしても館の皆が活気づいた。昼もシェフが腕によりをかけて準備をしてくれる手はずになっている。楽しみにしていて欲しい」


「おおお~はいっ!楽しみにしておきますっ!」


つい目がキラキラと輝いてしまった。あのカタコト喋りのシェフが腕によりを私の為にだと!?楽しみに決まっている!


「ふふっいい返事だ」


「モナっモナっ!早く行くぞ、まずは玄関だ!広いぞ!」


「うん!お宅訪問!探検だね!突撃!となりの晩ごはんだね!」


「まだ朝だぞ?」


「あはは、気にしな~い、突撃とつげき~!」


「突撃ぃ~!?」


「お二人共、走りまわるのは関心いたしませんぞ」


「そーだぞ、ババァ達に言いつけるぞ」


「「うぐっ」」


プントさんとユーグリッドさんにつっこまれた。


「お返事は?」


「「はいっ走りません」」


プントさん5歳と8歳に厳しい。いや、普通か。でも気持ちがはやるのだよ。よし、こういう時は走らないけど、をやろう。


「アンドレ、走らなきゃいいんだよ。」


「うん?」


「こうだよ、こう」


シャカシャカシャカシャカ・・・。皆さんお気づきですね?走っていませんよ。早歩きです。


「「「ブフッ」」」


プントさんとディオさんとアンドレが同時に吹いた。え?変?


「ハッハッハッハ!そりゃ走ってはいないな、アーッハッハッハッハ!」


ユーグリッドさんはツボに入ったみたい。


「アレはいいか?プント!走ってはいないぞ!な!いいだろ?」


「あまりお行儀は良くありませんが。」


唸っているプントさんにユーグリッドさんが耳打ちした。


「まあまあ堅苦しすぎると嫌われるぞ、プントさん。アンドレ様がグレてジジィと呼ばれたくなかったら少し寛容なくらいがいいぜ?」


「グレ・・・・そうですね。ごほん。アンドレ様、今日はモナさんがいらっしゃるので特別にそれはいいとしましょう。走るのだけはダメですよ、館には貴重なもの、壊れ物など多いのですから。」


「わかった!ありがとうプント!」


「プント、私もあの歩き方してもいいかい?」


ディオさんもするの!?それは想定外なんですけど!?プントさんも白目むきそうだよ!?


「ご冗談、で、すか?」


「ブフッ・・・プントってそういう顔も出来たのだね。面白いものが見れた。アハハハ!」


ディオさんのはプントさんへの単なる冗談だったようだ。ふう。焦ったあ~。ディオさんが笑っているのでアンドレがとてもホッとした顔になっていた。


今日もディオさんの夢見が悪かったのだろうか?お祭りの話もしないとだし、今日はモナちゃん頑張るぞい!!



次回は22日更新予定です。


頑張るぞい!!(ポプ子)きゃるん!

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