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第121話

フテゥーロちゃんは泣き止んだ。私は衝撃的な話を聞いてしまった。アンドレって魔王になるの?それってなんだか


「ちゃちい物語みたいだね」


「「「えっ」」」


「え?」


部屋には私、テンクウちゃん、フテゥーロちゃん、ビャッコくん率いる猫さん達全8匹、タイモちゃん、ウサギさん達2匹。床のラグに私も直に座って白雪姫みたいに動物に囲まれる風景にも似た状況だけど、ちょっと違う。白雪姫みたいにあんなに楽しそうな状況とは違うのだ。


考えろ、考えろ私。あのネックレスは手作りのものだったので1点ものだと店主さんにオススメされた一品だ。機械化とかが進んでいないこの場所で同じものはほぼないし作っても同じにはなり得ない。なんとかなるたぶんなる。なんとかなぁれ。なるるるる。


ケセランパサランのフテゥーロちゃんは未来から来たと言う。それは信じよう。私が教えていなければ歌えない歌(主にアンパン●ンマーチ)を度々口ずさんでいる。きっと未来の私がどこかで教えたんだろう。それはどうでもいいから置いといて。ぽいっとな。


ミギィさんとレフティさんが魔王の側近だって言う話もフテゥーロちゃんがしてくれた。でも私は魔王っぽい顔つきの悪い普通の人にミギィさんとレフティさんが仲良くなっただけだと思っていた。え?いやいやいや、普通その程度でしょ?モンスターがいるからって魔王が本当にいるだなんて思わないのが普通でしょう。


「それにアンドレって王族でしょ?普通魔王って物語からすると魔族だとかの強い人がなるイメージがあるよ。アンドレ最近死にかけてたも同然だし、未来の話だったとしてもなりそうなイメージがわかないなぁ」


「ぼく、わたし、強いかなんてわからないよ。似てたのはわかるよ。」


「ボクも見た限りアンドレには強そうな気配はないよ?」


「嘘じゃないもん」


「嘘とは言ってニャーだろ。似てるのしってんのお前だけなんだろ。大人になれば、色々変わることもあるのが普通。」


ビャッコくんがフテゥーロちゃんに近寄って頭をペロッと撫でるようになめた。


「むにゅう。」


「ディオさんも何か別のものになるのかな?大体、私が渡したダイヤ型のガラスのネックレスが指針になるなんて、そんなのびっくりしかないよ?そもそもこの世界の魔王ってなんなんだろう?」


「わからない。ごめんね、モナママ」


「ネックレス奪ってしまいましょーかにゃ?」


「そういう問題じゃにゃイですにゃ」


「・・・愚策」


「・・・・」


「ピィピピピピィ」


「火山ウサギが申してますにゃ」


黒ネコのスバルくんが今度は通訳してくれた。


『学者先生が一時期調べていたことがある。(われ)の覚えている限りでは魔王と言うものは、魔物達の王、暗黒を好み闇に紛れて世界を混沌の渦に包み込み、光と言う光を食いつくしてしまうものである。と、言っていたはずだ。』


「なるほどな、なるほどなるほど、なるほどな。文献に載っていたことをキチンと覚えているなんて、スゴい。このウサギ天才さんでは!?」


「ピィピ」


火山ウサギのリクゴウくんのドヤァ~。タイモちゃんとビャッコくんがリクゴウくんに対してジトっと同じ顔で見ている。タイモちゃんはさっきのことがあったからわからないでもないけれど、ビャッコくん、どした??こそっと聞いたら、ビャッコくんとリクゴウくんは氷と火で属性が両極端のために近いと暑すぎてあまり好きにはなれないらしい。


リクゴウくん自体が発熱して熱いわけではなくて、ビャッコくんとリクゴウくんの間にある属性が反発して当人同士にしか感じない特殊な感覚に襲われるのだそう。そういうこともあるのか~。モンスターって不思議。


「フテゥーロちゃん、その未来って大体いつ頃なの?大人なアンドレって言うことはだいぶ先?それともアンドレも私みたいに大きくなったり小さくなったり出きるようになるのかな?」


「ピ?」


「それってどういう意味なのよ?」


「ん?」


「モナ、そういえばこのヒツジとウサギ達は、色々知らないままじゃないかにゃ」


ハッ!


「えっタイモちゃんはキジンさんから私のこと・・・」


「気のいい人間っていうことだけ聞いたのよ」


あじゃぱ~。かくかくしかじか・・・、ビャッコくん達はテンクウちゃんから話を聞いて知っている子と知らない子がいたみたい。私は異世界から来たこと、本当は大人だってこと、いつかはこの世界から居なくなる可能性があること、などなど。


タイモちゃんは口パッカーン。リクゴウくんは硬直化、カッチーン!である。一番反応が顕著だったのは今まで寝たふりして聞き耳しか立ててなかった白いウサギさんだ。ガッツリこっちを凝視して徐々に距離を縮めて・・・おっともうゼロ距離なんですけど。どしたん。


「フ、ディリティ、メクソンドゥ、パルメッ」


タラターターラッタター

▼ウサギがよくわからない言葉を喋り始めた


「ピィ?」


よくわからない言葉とウサギ語のピィピィのみが部屋に響きわたる。ウサギ同士でなに話しているんだろう。


「ピ!」


「うん。あのね」


白いウサギの言葉を茶色のウサギのリクゴウくんが通訳して、さらにそのリクゴウくんの言葉を誰かが通訳するという事態に。今回はテンクウちゃんだ。


「私はこの世界を何回か転生しているの。何か手伝えることがあるなら手伝うわ」


な、なんだってーーー?!説明によると、毎回動物だけれど死んでは転生し、死んでは転生し、テンクウちゃんやビャッコくんみたいにある意味長生きしているような白ウサギさんらしい。そういうワンちゃんの映画あったよね、ワンダフルライフだっけ。それのウサギさん版。


「よぅし、みんなで力を合わせて今後どうしたらいいのか考えよう!」


ザックリすぎる提案だけれど、みんな急にやる気になってくれた。白いウサギさん効果かな?


「うーん。」


うーんと、みんなで唸っていると


「アタチの毛を刈り取ってお守り作るといいのよ」


「え?」


「アタチの毛を刈り取ってお守り作るの」


「あ、えと、聞こえてたけど、どういうこと??」


「ちらないの?だからいっぱい居なくなったのよ。アタチ達。」


テンクウちゃん達に目配せするとテンクウちゃんは首を振った。よく知らないようだ。ビャッコくんも首をかしげていて、声をあげたのはまたもや真っ黒い猫のスバルくんだった



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