第113話
アンドレからプレゼントかー。・・・・・ただの貴族でもあれなのに王族だし、貰うには重いなぁ。どうしよう。ただひとつ言うなら気持ちは嬉しい。嬉しいけど、うーん。
「その可愛いって言ったの欲しいんだろう?やる。」
木彫りの飾り物だ。木に妖精が止まっている。よく細かく掘れるものだなーと細かい細工に目がいく、大人の両手で持つぐらいの大きさの置物。可愛いけど飾るところもないし正直いらない。今の体で持ち歩くの絶対重い。うん。重いよなー。
「可愛いなって思っただけで欲しいわけじゃないよ?」
「なんだって!?」
女心と秋の空。わかりづらいよね。ごめんよアンドレ。朝見たレフティさんと同じく八の字に曲がった眉毛が切ない。
「んじゃあさ交換こしよう。私だけもらうのはイヤだから、私もアンドレにあげるの。ただし、ルールがあります。アンドレはお金いっぱいあるからなんでも買えそうだけどそれじゃあ面白くないでしょ。ルールはこの商店街の中で買えるもの。品物はひとつだけ。持って帰るの楽なやつがいいな。重すぎないもの。金額は準銅貨2枚分まで。このルール守って交換こをするなら、プレゼントもらうよ!」
「準銅貨2枚!?少なすぎないか!?」
日本円にして約二千円だぞ。少なくないよ。さっきの置物は準銅貨8枚だから買えないけど、この商店街では準銅貨2枚で1品は十分だよ。
「商品1個買うなら銅貨2枚から買えるものいっぱいあるし、準銅貨2枚ならいいもの買えるよ?ねぇミギィさん。」
「そうなのかプント!?」
「んだ。」
「その通りでございます。」
「ね!」
「うむむむむ、難しそうだが、やる。」
アンドレと今までつないでいた手を離した。
「じゃあバラバラになって探そうね!買ったら集合場所はこのお店の前だから、早く買い終わったら待ってること!いい?」
「うぐ、バラバラに探すのか?一緒に歩いたら行けないのか」
「何を買ったのか交換するときに見たいもん。宝箱開ける時ってワクワクするでしょ?一緒にいたら何を買ったのかすぐわかっちゃって面白くないよ?」
「それはそうだな。俺もワクワクしたい。モナ・・・後でまた手をつないでくれるか?」
「もちろん!」
「よし!モナが喜ぶものを見つけてやるぞ。」
フンス!フンス!している8歳可愛い。
「お坊ちゃま自身がお金を握りしめて購入するのは初めてでございますね」
「うむ!少し緊張するが楽しみだ」
おや、図らずとも“はじめてのおつかい”が始まったと言うことか。そうだよねアンドレぐらいの身分になると、これを買っておけ、あれが欲しい、って指示出せば買えちゃうもんなぁ。さっきの2件のお店もほとんどそんな感じだった。値段見ずに買い物ってホントセレブ。
でも、なんでも手に入るっていうのは、むしろ物欲ってなくなりそうだよね。手に入らないから、難しいから、欲しいっていう欲が沸き上がるもので。物語とかだって想像してなかった展開が、来たりするからワクワクする。
貴族・王族って私には向かないなぁ~。
「モナ?もう買いに回ってもいいか?」
「あ、うん!そうだね。それじゃあ」
競争ではないけど“よーいどん!”と合図しようと思ったその時
「あれっなんでここにいるのー!?スゴい!ぐうぜん!お姉ちゃーーんこっちきて~」
「なになに~?あっモナちゃん!」
「ミリーちゃん、ユリーくんと・・・?・・・その子達初めて見る。お友達?初めまして私モナ。いつもともだち食堂でお手伝いしてるの。よろしくね。」
2人の後ろにミリーちゃんと同い年ぐらいの女の子と男の子がいた。速攻で挨拶である。
「よろしく~」
「よろしく」
女の子はすぐに元気に返事を返してくれたが男の子の方は女の子のそれを聞いてから仕方なしな感じでボソリと答えてくれた。態度が悪いというより人見知りっぽそう。距離感近すぎたかな?とか考えていたら彼の方から徐々に後ずさって離れていく。うん。人見知り決定だ。
ミギィさんは子供達がわらわらと増えたので
「モナちゃん、店ん外でテンクウ達と一緒にまってるなぁ」
と一言残して立ち去った。プントさんと護衛さん達も子供達の邪魔にならないように少し離れて見守る形になった。
「ごめんね、ユニは初めて会う人にはいつもこうなのよ。まいっちゃうわ。」
はふん。とため息を吐きながらミリーちゃんは教えてくれた。
「こっちはシーちゃん。そっちの子はだぁれ?初めて見る顔ね。服がなんか高そう。貴族様?そんなわけないか、ここ商店街だし。」
「この子はアンド・・・」
「俺はアンドレ、モナの一番の友達だ!」
友達の私の言葉を遮ってまでいうことかい。ドヤァしてるけど別段私価値は高くないぞ。ミリーちゃん達はふーんという、特に気にしてない感じで次の質問に移行した。アンドレ、肩透かしを食らったね。あれ?って顔してる。
「今何してたの?」
「アンドレがもうすぐ王都に帰っちゃうからプレゼント交換こしようって」
「わぁ!楽しそう!」
ユリウスくんがワクワクしている。
「ミリーちゃん達はどうしてここに?」
「いつもは家族のお手伝いしてるって話はしたでしょ?今日はみーんな手伝うことがないから遊ぼってあつまったの。ねぇ!交換こ手伝っていい?」
「「「「え!?」」」」
ミリーちゃんの言葉にみんなでポカン
「手伝うって?」
「女の子チームと男の子チームにわかれるの!それぞれアンドレくんとモナちゃんにこういうのはどーお?って手伝うのよ」
「僕やりたーい!いい!?アンドレお兄ちゃん」
「え、え、えーーー・・・とだな。」
ユリウスくんにキラキラ目で見られてアンドレが戸惑ってる。嫌ではなさそう。アンドレよりユニくんの方が目が泳いでる。いいのかなあれ。助け船出すべき?
「じゃあ行くわよ!よーいどん!」
「わーい!2人ともこっちこっちー!」
ミリーちゃんがどんどんと進めてしまった。ユリウスくんがアンドレとユニくんの手をつかんで強引にこのお店から出て行った。ユリウスくんスゴい・・・。後ろからプントさんと護衛の人達がついていくのが見えた。大人は大変だ。護衛の人の若い方はここまでの二件の店でアンドレがお兄様達にと買った小物の荷物持ち状態だもの。
「私いいお店知ってるの。そっちのお店行かない?」
シーちゃんからの提案だ。女の子チームも移動することにした。お店を出るとお店の前で待っていたミギィさんと座って待ってるテンクウちゃん。その頭に乗ってるフテゥーロちゃん。ビャッコくんとコエキちゃんは地面で寝てた。動物は入っちゃダメな小さなお店だったので外待ちしてたのだ。みんな待たせてしまってだいぶ飽きてるなぁ。
「アンドレ様達走って行ったけどえがったんか?」
「うん、あのね」
「なるほどな。んだっけどうする、もう店開いてるけんど首輪買いに行くんやめるか?」
ビャッコくんが“あん!?テメェ行かねぇとかいうつもりじゃねぇだろニャ!?”って顔から言葉が溢れ出ていて圧がスゴい。
「ミリーちゃん、シーちゃん、先にそっちのお店行ってもいい?」
テンクウちゃんとコエキちゃんとフテゥーロちゃんに可愛い可愛い可愛いーとキャッキャウフフしてる2人に聞いてみた。ビャッコくんは可愛いのうちに入ってないのか。悲しいね。いや、どうでもよさそうな顔してるなビャッコくん。むしろ可愛いをアピールしまくっているコエキちゃんがあざといぞと目で訴えてる。その想い全く伝わってないと思うぞ。
「「いいよー!」」
首輪の売ってるお店にみんなで向かったのだった。
次回は16日予定です。
プレゼント渡すまで行かなかった・・・・。ミリーちゃんの友達はかなり前の話数のミリーちゃん達初登場の時にミリーちゃんが言っていたセリフに出てきた2人です。
アンドレ( ・ω・) フンスフンス
ユニ( ;´・ω・`)ドキドキ
ユリー(*´・ω・)わくわく
アンドレ「モナの気に入るものってなんだろう」
ユリー(ユリウス)「お花!パパがいつも、マイハニー!可愛いお花が売ってたんだ~君にプレゼントさぁ~ってお母さんに持ってくるよ!」
ユニ「・・・ネックレスとか貴金属は?おまえ金持ちなんだろ?うちの姉さん男からネックレスもらってすごく喜んでた」
アンドレ「ふむふむ。その辺りは貴族と変わらないのだな。勉強になる。もっと色々教えてくれ!」
ユニ「・・・うん。」
ユリー(ユリウス)「あとねあとね~」
男の子同士仲良くやってるご様子。
(ФωФ)(ФωФ)
ビャッコ「俺様の首輪はどこニャ~」
コエキ「楽しみですにゃ」