第105話
うーん。うまく説明できたかわからない。セイリューちゃんのパパママさんが見つかってセイリューちゃんは帰ったこと。こっちはいい。説明からキジンさん達のことを抜いても話せる内容だからね。しかしタイモちゃんはキジンさん達のことを抜くとどうしても変になってしまう。
だから、タイモちゃんは汚れていたのをキレイにしたら着いてきてしまった、ということにした。私が連れてくって言い出したのにタイモちゃんのせいにする形の説明になってしまった。
タイモちゃんにはさっきコソっと謝った。いいのよ。って言ってくれたけど、自分が不甲斐なさ過ぎて泣ける。ごめんよ。
私達は家のダイニングテーブルでひと息ついていた。みんなで囲むお茶ってなぜかひとしおに美味しくなるよね。ケセランパサランちゃんとテンクウちゃんとタイモちゃんはミギィさんが用意してくれたご飯をモグモグ食べている。
美味しそうに食べるなぁ。私もお腹が空いてきた。くぅっ・・と他の人に聞こえるか聞こえないかぐらいの腹の音が鳴った。
「んでな、アンドレ様からモナちゃんに手紙だべ」
「アンドレから?」
少しドキっとした。ナカバさんが恋とかなんとか言ってるから意識してしまった。相手は8歳。恋なんてナイナイ。私中身大人だもの。んー。手紙かー。まだ字を覚えている最中だから読むのも遅いのだが。
・・・・・あー。子供の字体だから余計に読みづらい。
「も、な、へ。あ、さって、たの、しみ、に、し、てい、る。あさ、むかえの、ばしゃ、を、とも、だ、ち、しょく、どう、のまえに、よこす、ので、それに、のって、きて、くれ。おにい、さまと、ともに、まっている。アンドレ。ついしん・・・あし、たは、あそべ、ないの、だ、ろう、か。」
招待状的な手紙だった。だったけど、最後。明日は遊べないのだろうか?って、明日も会いに来るってことなのかな???んん?
「アンドレ様の手紙にも明日遊びたいって書いてあったんだベ?」
「え、あ、うん?も・・・?アンドレの手紙にも?」
「お二人が一緒の時に手紙を書いたらしくてな、ディオ様からの保護者の方々へって手紙にな、ホレ、明日よげれば買い物を一緒に行かせてほしいと書いてあったんだベ。」
「アンドレと一緒に買い物。ほほう。私はいいよ!人が多い方が楽しそう。」
「んでば、この返事をはよ返さんとってモナちゃん探したらどごにもいなぐって、焦ったんだぁ。」
「モナちゃん公園かもっつって行ってみたらユーグリッドが、なんか書類で目がシバシバしとったからってちょーどテントから出て来た時でな。これ幸いだべ!ってひっつかまえて、引っ張ってきたとこだったんだベ。」
「そうだったんだ~」
ユーグリッドさんには申し訳ないから今度あったらまた謝ろう。うん。そうしよう。
「手紙の返事、もう遅すぎる?」
「まだ食堂ん近くにディオ様の使い待たせてるから大丈夫だべ。んじゃささっと書いちまうか。」
返事の手紙を渡すというので、従者の人にも待たせてしまったお詫びを言いたくてレフティさんに着いていった。レフティさんが私のちんまい手を握ってお外にGO。ともだち食堂の近くに馬1頭と男の人が2人いた。
「あんれ?増えてるベ。おーい、待たせですまながったなー。これ、返事だベー。」
「お待たせしてしまいました。ごめんなさい。」
「ご無事で何よりです。」
従者の人はひょろっとした細身の体躯のウ●ーリーを探せ!のウォー●ーを彷彿させる従者さんだった。優しそうな人。うぅん。余計に申し訳なさ倍増。
従者の人の隣にいた男は、ディオさんの隣にいつもいたあの男だった。
「あっ銀さん」
「ギンさん?えっ人?」
「銀さんは人だよ。当たり前でしょ」
「いやいや俺はギンさん知らないからね?」
銀さんではないけど銀さんに似ている、この男。チェルキョさん。の、足元に少し大きめな虫かごみたいなかごにウサギが2匹入っていた。
「それって・・・・」
飼いウサギかな?
「いいだろー。さっき捕まえたんだ。料理長にさばいて貰おうと思ってるんだよね。もも肉とむね肉解体楽しみ~」
ビシリ・・・・・。私の顔も心も硬直した。
「・・・たべ、たべ、えっ・・」
「あっ、しまった。」
食べれるって知ってはいたけど、お肉になってしまう前のかわいい状態を見ながらさばく話を聞くことになろうとは・・・・む、むりっ。だって現代人だもんんん。お肉になってしまった後ならいざ知らず、これからってのは想像したくないですごめんなさい。
「んだらっ、ウサギ肉なんて高級品だべ。」
「捕まえるの大変だし身は小ぶりのしかいないから高級になっちゃうんですよね」
うぐぅぅ・・・平然と話をしているレフティさんと銀さん。この街の人、というか、この世界の人達は平然としている。外国人が昔から感じていたタコとかうなぎとかの忌諱感を、私はウサギに感じているとでも言った方がいいのか。違うような気もするけれど、それに近いんじゃないかな。かわいいを食べるに変換できない。
ペットとしてしかウサギを見れない私はこの世界からすると軟弱なんだろうなー。いやでも、可愛いじゃん!?ウサギ、可愛いじゃん!?
私、サバイバルになってしまったら即座に死んでしまうタイプだなぁ。選り好みしてしまう。ううう。レフティさんの服にしがみつかせてください。後生です。可哀想が過ぎる。
頭の上に乗っているケセランパサランちゃんが言った。
「モナ、モナ、あのコ、」
「ん?」
テンクウちゃんも言った。
「モナちゃんあのウサギ、」
「「お腹が緑」」
「えっ!?」
茶色の隣にいた真っ白なウサギのお腹がコケむしたような鮮やかな緑色をしていた。
「うわぁぁ!緑だ!!」
とっさに大声を出してしまった。レフティさんと銀・・・じゃなくてチェルキョさんは私の方を見てからウサギの方へと目線を移した。
「うわっえっマジか!病気!?」
チェルキョさんはウゲッと声を上げた。レフティさんはまじまじとウサギのお腹を確認してチェルキョさんに向き合った。
「これは・・・。ディオ様の側近だっけかね、アンタは。コレ、アタイが処理してあげようか?」
「えっさばいてくれるんすか」
「病気のを食いたいのかい?そうじゃなくてだね。これたぶん2匹とも病気に感染しとると思うよぉ。それを食べてお腹を壊す程度で済むか、墓から過去の自分を恨むかはわからんけど、それをこっちでどうにかしてやろうって話だよ」
「うぅ・・・折角のウサギの肉ぅ。俺の命と引き換えって、そりゃ俺の命の方が大事も大事。だけどいーんすか?金にもなりませんよ?」
「この国の王子様のいる館に病原菌もったウサギ持ち込む気かい?」
「うぐっ」
「レフティさんなら大丈夫だよ、銀さん。」
「だーから、俺はチェルキョ。」
「そうそうこっちはそういうのを処理もしたことあるから心配しなさんな。」
チェルキョさんはレフティさんに説得され、従者さんと共に館に帰っていった。帰るのを見送った後ポケットからごそごそとアレを出した!ぱらぱっぱぱー、高級ポォショーーーン!
「きっとこれでなおるよね!」
「なおらねぇベ」
「そ、そんな!?」
「んだっけ、これ、どっかのペンキか何かが付いちまった跡だベ」
なんですと!?!?
次回は31日予定です。
アンドレの手紙は、前の方の回のディオとお茶した後に2人で書いたものです。
アンドレ「モナはモナでモナがですね」
ディオ「ふむふむ。(元気を取り戻してそんなに経っていない。折角の友人ができたのに遊び足りないのかもしれないな)今度こちらに来てくれる日は口約束で済ませてしまったけれど、改めて招待状を送ってみたらどうだろう」
アンドレ「しょう、たいじょう・・・。素敵です!お兄様!(キラキラ!)」
ディオ「誰か、ここで手紙を書きたいので準備を。私とアンドレの2人分だ。」
メイド達「「「かしこまりました」」」(キリッ)
メイド達の心の中(((王子達今日も尊い。眼福!キャッキャッ!)))
とまあこんな感じ。平和。(〃´ω`〃)
忌諱・・・おそれて避けていること。
シバシバの部分、書き間違えていたので直しました。(230129)