第103話
しゅーちしん・・しゅーちしん・・・おれたちぃぃはぁぁ~~・・・・。(苦笑)恥ずかしかったけど話し合いの末、タイモちゃんも連れていくことになった。声を張った甲斐があった。うんうん。
「モナはモナだからモナだよね。ぼく、わたしもモナみたいになりたいんだ」
「ありがとうオリゴ糖・・・」
良くわからないけどお礼言っとく。
「モナちゃんまだ顔赤い。照れてる」
テンクウちゃんっツッコミは今受け付けないよ!
「行けるのは嬉ちいけど、恥じてるひとについてくのはシンパイなのよ!」
「あはははは。がんばるね。」
「あっはっは、酔狂、最強、恐々至極。モナさんは見ていて飽きませんですん。」
「はあ。ありがとうございます??」
溜め息じゃないけど変な返事が漏れるくらい脳みそ動いてない私よ。愛しさと切なさと心づよさと~・・・・スン・・・・
「きゅんきゅんきゅん、きゅんきゅん、きゅん」
「セイリューちゃん、また遊びに来るから待っててね」
どこでもドアみたいなものがあればセイリューちゃんにいつでも会いに来やすいのになぁ。でも無いからこそ、別れも、再会も、胸が熱くなるというものだ。便利も度を越すと、全てがただの日常になって感動なんてなくなるものだから。
だから今はセイリューちゃんに抱きついた。セイリューちゃんも私に匂いをつけて起きたいのか頭をスリスリと私に擦ってくる。オキツネこんこん山のなか~山のなか~。ほんわか光ってる光がもう当分見れないんだなぁ。
満足したのかセイリューちゃんが先に離れていった。お姉さんは寂しいぞ。もっとぎゅうしたかった。手をわきわき・・・。むなしい。セイリューちゃんが向かったのはタイモちゃんの前だった。
「きゅーん、きゅんきゅん、きゅきゅーん、きゅーん」
「ダイジョーブなのよ。アタチを守ってくれるならナカマなのよ。」
なにを話しているんだろう。かわいい。可愛い2匹がぷきょぷきょお喋りしている。
「モナさん、今回は急なお呼びだしに応じ、本当に来てくれて助かりんした。」
「いえ、セイリューちゃんいつも昼間ひとりぼっちだだったの気になっていたから・・・。」
そういえばこの件ってケセランパサランちゃんが飛び出して行ったから発覚したんだったよね?用事があるから~とかなんとか・・・?
「連絡はまた猫さん達経由でさせていただきますん」
「・・・!!そっちか!」
「?どうしたですん??」
タイモちゃんの近くにテンクウちゃんがいる。そしてその頭の上にはケセランパサランちゃん。ケセランパサランちゃんがちょうどテンクウちゃんの頭からフヨフヨと飛んでこちらに向かってきた。ニコニコしている。
「モナ~~抱っこ~」
「その前に話すことがあります!」
「あえ?」
ケセランパサランちゃんの話によるとビャッコくんに
『飛べるんならカラスキとトカキの様子見て後で教えてくれねぇか』と言われていたらしい。んで、上空を飛んでたらぽん吉とポンポコ丸を先に見つけたので事情説明。そののち、キジンさんカラスキくんトカキくんに話が行って、セイリューちゃんのパパママもちょうどその場に居て。モナ今なら暇だよ!というケセランパサランちゃんの一言でこの後急遽来させよう、と、なったらしい。
なるほど。なるほど。なるほどな。
「オレち連絡役になるっす」
「お前はもうトリにニャるな!馬鹿でもアホでもなくなるぞ」
「えっ残るは天才!?」
「ちニャーうっ!」
夫婦漫才ですか。カラスキくん、トカキくん。
「ぽっぽん」
「おかえりぃ」
外に出ていたぽん吉がキジンさんの元に戻ってきていた。
「出れるそうですん」
キジンさん、セイリューちゃん、ポンポコ丸くん、セイリューちゃんのパパママさんやキツネさんやタヌキさん達と挨拶して私達は外に出た。
「目立つから不死鳥は無しだにゃ。」
「はぁい」
ぽん吉を先頭にトカキくんとカラスキくん、私とケセランパサランちゃん、タイモちゃん、殿にテンクウちゃん。列になって降りてきた階段を登っていった。
ギィと重い床板、兼、扉が軋む音が鳴る。キジンさん宅の小屋からは人の声が聞こえない。静まり返っていて緊張してきた。すり足差し足忍び足、すり足差し足忍び足・・・。
「ぽこぽんぽっぽんぽぽぽぽん」
「ふむ、なるほど。」
「そうだね。」
トカキくんとテンクウちゃんが納得して頷いてるけど言葉のわからない私。
「テンクウちゃん。なんだって?」
「ああうん、猫ふたりはこの屋根沿い伝って囮になったらどうかって。ほら、ボク達だけでも大所帯だし、トカキとカラスキだけなら素早いから。見つかっても逃げられるでしょ」
「なるほど。」
「ぽこぽこぽんぽんぽーこ」
「了解しましたにゃ。行くぞカラスキ」
「ハイにゃ!モリちゃんさんのおウチでまたあいましょ~ねぇ~~」
「モナはモナだよ」
私の名前が森になりました。ケセランパサランちゃんのツッコミむなしくトカキくんとカラスキくんは屋根に登っていった。
「ぽん吉くんの合図が出たらふたりは動くから。騒ぎの状況を見て逃げるよ。」
「わかった」
「ぼくわたしもわかった」
「わかったのよ」
ぽん吉くんだけ小屋から離れて最初に外に出た数匹のタヌキのうちの1匹が尻尾を振って合図らしきものを送ろうとしたその時だった。
タヌキ達がピタリと固まった。人が来ると察して身動きとらないようにしたのだ。タヌキ達は1点のみを見つめている。私も息をするのも忘れそうになりながら、そちらに耳をすませた。
次回は27日更新予定です。