第11話
ぱちくり、ぱちくり。ムムッ?ココはドコ。私はダレ。パートtwo。窓から明かりが漏れている。そろそろ日の出なのだろう。キョロキョロしてみたらテンクウちゃんが私の視線に気付いたのかガバッと起き上がってベッドまで来てくれた。
「わふっわふっ!」
おお、シッポを振りよる振りよる(殿様気分)。可愛いぃぃ。
「テンクウちゃんおはよう。」
「ワンッ!」
テンクウちゃん朝からテンションMAXだな~。そうだった。私は帝麻萌那。異世界人。なんでか全くわからないけど、身体が退化して5歳に戻っちゃった元・社会人。
体力ない5歳だからお腹いっぱいになったのとテンクウちゃんの事で最後に気が緩んだのとで寝てしまった?ようだ。
異世界1日目が沢山睡眠をして終わってしまった。いや、別にやりたいこととかあったわけでもないけど、あっ、騎士さん達に挨拶もなく爆睡したのか!あわわわわ。私としたことが。元・社会人なのに、ド失礼だぁぁぁ。
いや、でも今は5歳だし、しょうがない・・しょうがないよね!? うん。良いことにしよう。ムムッ!イイんです!(楽●カードマァァァァン)・・あー、もう異世界だからあのCMも見れないのか、残念。
「くぅーん?」
「あ、ごめんごめん。」
「おんやぁモナちゃん早起きだっぺ。おっはよぉさん」
入り口のところにレフティさんが来ていた。
「レフティさんおはようございます。レフティさんも早起きですね」
「早起きじゃぁねぇよぉ。いっづもこの時間には起きてるんだぁ。店、昨日言っとった朝の部が日の出からだで、家に誰も居なくなっちまうからモナちゃんどうすっか見に来たんだぁ」
「なるほど」
「モナちゃんはどうすっべ?まだ仕事覚えてねっがら、朝はゆっくりしててもいいってみぃんな言ってんだ。家でゆっくりすんならカギ預けっけど、どうするべ?」
「目が冴えちゃったので私もお店に行きたいです!」
「そぉか~んなら、そこんタンスに昨日スミコットから貰った服入ってるから着替えてすぐに降りといで。」
そう言うとレフティさんは部屋から出ていった。よく見ると私の服装は昨日貰ったスミコットさんからの服ではなく寝やすいクリーム色のシャツだった。おお、これが噂のブカブカTシャツ。
ミギィさんかレフティさんの物だと思うけど今の私だと足首までスッポリだ。幼女ちっさい。いや、シャツがでかすぎ?
そういえば昨日は気にしなかったけど、あのボロボロの服ともうひとつ身に着けてたんだよね。なにを隠そうこの5歳の身体にピッタリあったパンツとタンクトップみたいな肌着。転移特典?んー、わっからん。
スミコットさんやレフティさん達から貰った以外のものも無いと今後困るなぁ。元の大きさや元の世界に戻れるかもわからないから寝間着もシャツ以外が欲しい。
着替えて下の階に降りた。この建物は2階建てのお家だったらしい。一階に降りたらそこそこ散らかっていた。お店忙しそうだったし、しょうがないよね。今日はお店行くって言っちゃったし暇みて片付け手伝おう。
ミギィさんはいなかったがレフティさんが待っていてくれていた。
「ミギィば料理長だかんな。色々あっから先に行ってるベ。あと、朝食の時間なさそーだがら、店に持ってくから昨日みたいに店んテーブルで食べろ?な?」
「朝ごはん!わぁい。ありがとう。レフティさん!」
家と店は裏口同士で行き来可能な作りになっていた。便利。なので出勤時間は2分もかからなかったと思う。昨日置いたリアカーの近くでミギィさんと野菜などを卸している商人さんと話していた。本当に忙しそうだ。
テンクウちゃんは店の中に入ろうとしていたが昨日は特別。今日は外にいるように言い聞かせた。あまりに悲しそうな顔をするのであとで一緒に遊ぼうと約束してしまった。
中に入るとナカバさん、ハジーさん、スミコットさんに挨拶。朝だからか食堂にコーヒーの匂いが漂っていた。イイ匂い。
「シターズ・パン店でーす。」
「ありがとぉ、ココに置いて下さい~あ、そうだわぁ新しい注文があるんですよ。大丈夫そうですか?」
「昨日夕方に伺った件ですか?大丈夫ですよ~承れます」
スミコットさんが対応している。なにか細かい要望があるのだろう。メモを渡した上で話し合いをしているようだった。そんななかレフティさんは声を上げて店を開けた。
「食材類は揃ったから、お客さんいれちまうからねぇ」
「「「はーい」」」
お昼と違ってドバッとは入って来なかったが、開店と同時に3人の客が入ってきた。私も朝食を食べてしまおう。寝っぱなしだったからお腹が空いている。レフティさんが用意してくれたのはサンドイッチだった。ハムと卵の素朴なやつだ。
「お客様ぁ?飲み物は、コーヒーかミルクかレモンとハーブのお水どれになさいますかぁ?」
ナカバさんがニカッとウィンク飛ばしながら半分ふざけて聞いてきた。フフフッその選択肢なら1つしかない。
「ミルク下さい!」
「ははは!元気な子ぉだなぁ!俺も久しぶりにミルクくれや」
「かしこまりましたぁ〜」
お客さんのうちの1人が笑ってくれた。そういえばこんなにゆっくりしたの久しぶりな気がする。朝はとっても早いけど、心の流れる時間がゆっくりに感じる。
朝食を食べ終わったので手伝いをしようと意気込み、何をすればいいのかを聞きに厨房へ戻った。
「あっ丁度良かった。」
パン屋の女性がまだ帰っていなかった。
「あのね、皆さんの好みとか嫌いな物はもう知っているんですけどね、アナタほら昨日来たばかりなんですってね?アナタ達みんなが賄いとしてうちのパンを食べるから、好きなものや食べれないものとかアナタのも知っておきたくてね、待ってたのよ。」
素直にサンドイッチや、ベーコンパンが好きと答えた。
「嫌いな果物とかあるかしら?木苺、レモン、干しぶどうとかはよく扱うの」
「嫌いな果物は・・・うーーん。特に無いよ。」
「あらほんと?それなら良かったわ。じゃあね、スミコット。また夕方に伺うわ」
「ええ、よろしくねぇ」
パン屋の女性は帰っていった。この食堂は夕方に閉店だったはずだ。昨日は寝てしまってどのくらいの時間かまでは把握してないがそんな時間に来ても困らないのだろうか?スミコットさんに尋ねると今日は閉店間際に大事なお客さんがあるのだということだった。
どんなお客さんだろう。気になるな〜〜〜
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*誤字見つけたので直しました(6・17)