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第101話

危なかった。黒●げ危機一髪。じゃない。単なる危機一髪。


「子供がこの辺りにいるハズ」


見覚えのある鹿の後ろから付いてきたのは冒険者だと思われる男だった。どこかで見たことあると思ったらこの人アンドレ達と遠目で見た冒険者だ。つまりまだ仲間がどこかにいるはず。全部で5~6人のグループだったハズ。


『3人!』と確かカラスキくんとトカキくんが言っていた。少なくともあと2人この周辺に居るハズだ。


タヌキのこの住み処は畑こそ無いけれど人間が昔住んでいたであろう廃屋(はいおく)とその名残の木々が色々ある。他の仲間がどこにいるのか全く見えない。障害物が多すぎた。これじゃあ気が抜けない。


私を探してる?なんで・・・・????


ドキドキしながらたたずんでいると、とても小さい声でキジンさんが話しかけてきた。


「モナさん、緊張なさっているかと思いますんがコチラに。」


こそこそとみんなで移動した。私達が移動しても目の前にいる鹿モンスターと冒険者は私達のことなど見えても聞こえてもいないようで冒険者の一番近くに合った小屋を物色し始めたのが見えた。


こないだも案内されたキジンさんのお家と思われる小屋の中の更に奥まで通された。私達だけではない。どこにいたのかセイリューちゃん一家以外のナイトフォックス達とこの村にいるタヌキ達とも一緒だ。


「ここはもしかして、防空壕(ぼうくうごう)的な?」


シェルター的な。うーん。奥まで通されると、床にもなる地下へ行く扉をくぐって階段を降りて行った。私の後ろでゴゥンと閉まった音がした。私達で最後だったんだろう。


「ボークーゴー?初めて聞きますん。あたくし達は食料の貯蔵に使ったり危険回避のために皆で集まる場所として使用していますん。」


単なる貯蔵庫だったのかもしれない。というか防空壕(ぼうくうごう)って“昔あったんだよ”っていう知識しかないからドラマとか映画で見たのに似てたなぐらいでキジンさんに聞いてしまっただけで、詳しく知らないのに発言するべきじゃなかったな。と、反省。


降りきるとかなり(ひら)けた空間で更に別の扉もいくつか見える。さっき食料の貯蔵と言っていたけど降りきって見当たらないところを考えるとどれかの扉の先か全てにその貯蔵物が入っているんだろう。この(ひら)けた空間にはタヌキとキツネとヒツジ、犬、猫、私とケセランパサランちゃんだけだった。


タヌキはざっと50から60匹ぐらい、キツネは20匹ぐらい。私達場違いな気がしてしまう。タイモちゃんって家族はいないのかな。ヒツジは1匹のみだ。


「サルの騒ぎの時もこのように先に身を隠させて頂きましたん。戦闘出来るタヌキがいませんので、これがあたくし達の最善ですん。」


悔しそうな流し目を見逃さなかった。


「ううん!立派だよ。ファンタジー世界っていうとリーダー的なのはチート的に強そうなイメージがあるけど、キジンさんはそういうのじゃなかったんだね。ファンタジー世界でも無力なのは多い。多くを助けるには逃げて忍んで命を繋ぐことこそ大事。キジンさんはそういうタイプのリーダーとして今までこのタヌキ達を守ってきたんだね。スゴいよ」


いや、モンスターだし長生きして色々大変だったろう苦労はこんな言葉程度で(ねぎら)われはしないだろうけど、キジンさんはスゴい、それを伝えたかった。伝わったかな。もう少し言葉足すべきか。ううん。悩ましい。


「ふふっモナさんもとても素敵ですん。」


キジンさんはホント色気があって美人だと思う。タヌキだけどカッコ美しいタヌキはキジンさんしかいない!と、思える。素敵だなあ。


地下だからか少し肌寒い。カラスキくんに飛んで連れてきてもらったけどもう少ししたら空が暗くなってくる時間のハズだ。ミギィさんとレフティさんに心配されないようにともだち食堂の近くに早く帰っておかないと・・・。ドキドキが止まらない。耳に響く。・・・このまま帰れない、なんてことはないと思うけれど・・・。


不安が顔に出てしまっていたのかテンクウちゃんがケセランパサランちゃんを頭に乗せたまますり寄ってきてくれた。もふもふ温かい。


「モナちゃん大丈夫?」


「んー、やっぱりちょっと不安」


あっはっは・・。ん?テンクウちゃんが足元に座り込んだ。私の足これじゃあ動けないんだが。


「モナちゃん、ボクのここ空いてるからきて」


オー●リー春日かな?いやいやいやいや、テンクウちゃんは春日ではない。ピンク要素皆無だ。俺のココ空いてますよ、より、テンクウちゃんの誘いは紳士でとても素敵。


テンクウちゃんは鼻で自身のお腹辺りを指した。ゴールデンレトリバーみたいな黄金(ゴールデン)弾丸(ブレッド)(ドッグ)の毛艶はキラキラしていた。絶対温かいし気持ち良さそうなお腹。


私がその場でちょこんと体育座り調で座ると私に合わせて身を寄せてきた。ワンちゃんソファとでも言えばいいのか、テンクウちゃんに守られている感がとてもスゴい。


テンクウちゃんの頭にいたケセランパサランちゃんがフヨフヨと手元に飛んできた。


「モナ?寒い?あっためる?ギュッギュッボハッする?」


ギュッギュッボハッがなにかわからないけれど、ケセランパサランちゃんがギュッと発すると身が少し縮こまり、ボハッと発すると毛がボフンと広がる。雨に濡れた状態と毛を爆発させた状態とでもいうのだろうか。それを自在にやってのけていた。ケセランパサランちゃんの体どうなってるんだろう。


少し驚いているとケセランパサランちゃんは私の顔を見て、ニコーーーーと笑顔になった。見ているだけで毒気が抜けるような笑顔だ。


「きゅんきゅーん」


それを一通り見ていたらしくセイリューちゃんも私も私も!とでも言うように私の手元にぴょーんと来た。


「オレちもいいっすかー!?」


「あっ」


トカキくんは止めようとしたみたいだけど間に合わず、私の元にさらにカラスキくんが追加。さすがにこの5歳の体には重量オーバーで私の体はカラスキくんの勢い余ってテンクウちゃんソファに仰け反り落ちた笑いが辺りに響いた。


キジンさんとポンポコ丸とぽん吉もこちらをみて微笑んでいる。


寒さも不安もこの子達がいるから大丈夫な気がした。


次回は23日の予定です。


2日に1度更新に戻せるかな~。

戻すぞっ(決意)

(*>∇<)ノ

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