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悪役令嬢、受け入れさせる
「うっ、ぐ」
キシィが、エリーの肩を掴んだまま震えている。
かなり強く肩を掴んでおり、エリーの肩に爪が突き刺さっていた。
「別に、やらなくても良いんですわよ。そしたら、ただ私が忘れないだけですから」
エリーはそう言って、黒い笑みを浮かべる。
もし、このときの顔を鏡で見たら、自分でも引いているくらいの黒い笑みである。
「くぅぅ!……わ、分かったわ。いいでしょう」
かなり長く唸っていたが、最後は力なく頷いた。
国王のお気に入りであるエリーを虐待していたとなれば、どんな処罰をされるか分からない。
キシィとしても、自分の思想より命の方が大事なのだ。
キシィの承諾を聞いたエリーは黒い笑みを優しい笑みに変える。
「それでは、キシィお母様。早速お勉強を教えていただけますかしら?」
「も、もちろんよ」
キシィは頷く。
そして、この日から、痛みのない新たな勉強が始まった。
知識欲の強いエリーにとっては、その日々はとても楽しいモノとなる。




