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悪役令嬢、逃げ道を作る
誤字報告等いつもありがとうございます。
「でもね、私、キシィお母様にあることをして貰ったら、誰にやられちゃったのか忘れちゃう気がしまいますの」
その言葉を聞き、キシィは目を見開いた。
そして、エリーの肩を掴んで揺らす。
「何!私は何をすれば良いの!?」
ーーふふふっ。落としたわ。コレでキシィからの虐待はなくなるわね。
エリーは予定通りにキシィが動いたことを喜ぶ。
「条件は2つですわ。1つは、今まで通り勉強を教えていただくことですわ。ただ、鞭で打ったりするのはなしですわよ。そして、もう1つ」
エリーは、キシィのすがりつくような瞳を見て、
「私、優しい妹が欲しいですわ。キシィお母様のお腹から生まれた、平民思いの、優しい妹が」
「なっ!?」
キシィの顔が固まる。
自分の嫌いな思想を、自分が産んだ子に植え付けなければならないのだ。
嫌に決まっているだろう。
虫嫌いな人が、自分の子供に、「虫って良いよねぇ」と、言わなければならないのと、同じようなことなのだ。
エリーだって、自分の嫌いな思想を他人に教えるのは嫌だ。




