悪役令嬢、脅す
「それでは、お勉強を始めましょう」
キシィが鞭を取り出す。
それを見たエリーは薄く笑い、
「そう言えば、キシィお母様。私が毒を飲んで倒れたのはご存じですか?」
「え?……ええ。知ってるわよ。それがどうかしたのかしら?」
エリーは思いついていた作戦を実行する。
成功すれば、エリーの人生はかなり変化する。
「そこで、お医者様に見て貰ったんですが、お医者様が私の体の鞭の跡について尋ねてきましたの。そして、その質問を聞いた国王に、誰がやったんだと聞かれまして」
そこまで言って、エリーはキシィの瞳を見つめる。
キシィの顔には、先ほどまでの見下すような表情が消え去り、怯えたような表情に変化していた。
「まあ、その時にははぐらかしましたわ。ですけど、私、明後日の王族方との面会の時に、お伝えしようかと思っているんですの」
「っ!?や、やめなさい!そんなことをしたらむち打ちを強くするわよ!!」
それを聞いたエリーは、さらに笑みを深める。
「ふふっ。それなら、そのことも伝えなければ行けませんわねぇ。私、王様に、誰にされたのか聞かれてるんですの。国王様の質問に答えないなんて、この国の貴族としてはできないことですわ」
「あ、う、ぐ」
キシィの顔は青白くなっており、真っ赤に染まった目でエリーを睨んでいる。




