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悪役令嬢、M&Aを提案する
「で、でも、短期決戦なんて無理ですよ。敵が多すぎます」
おどおどした少年、24が弱々しく異議を唱える。
その言葉に、過半数のメンバーが首を縦に振った。
そこでエリーはニヤリと笑う。
エリーだって、そのくらいのことは分かっているのだ。
「そうね。確かに今のままでは規模が違いすぎるわね。だから、M&A、他組織との統合を図るわ」
M&A。
意味としては、経営統合。
エリーの前世の世界では、後継者がいない企業などがよくやっていたことだ。
敵が巨大で勝てないなら、自分たちがもっと大きくなれば良い。
単純な考えではあるが、M&A、経営統合は大事なことである。
なんと言ったって、この組織は、技術的なモノが不足している。
セカンド達は自分たちで少しずつ技術を開発していくつもりであったが、それでは時間が掛かりすぎる。
経営統合すれば、統合した相手の技術を取り入れることができるのだ。
やらない理由がない。
「さて、異論があるモノは?」
エリーの問いかけに、全員が首を横に振る。
エリーはまた笑みを浮かべ、さらに会議を進めていった。




