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悪役令嬢、人気者になる
「それでは、エリーへの褒美の授与式を終わる。本日はこれで解散だ」
国王がそう言って、会を終わらせる。
普段であれば、ここで貴族たちは帰って行くのだが、
「エリー。我が家の息子と婚約を!」
「いや!我が家と!」
「我が家と婚約を!!」
エリーに貴族たちが群がった。
何としてもエリーとつながりを作りたかったのである。
「皆様、落ち着いてください。婚約に関しては、お父様を通して縁談をお願いします」
そう言うと、周りは少し落ち着いた。
そのすきに父親がエリーを抱き上げ、群衆を素早く抜ける。
「エリー。お手柄だったな」
エリーを抱いたまま、父親は頭をなでる。
エリーはその言葉を聞き、口角を上げた。
ー-よかった。怒られはしないのね。
「じゃあ、お父様。私、ご褒美が欲しいわ」
エリーは安心するだけで終わらず、ほめられたことを自分の計画に利用することにした。




