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悪役令嬢、手を伸ばす
ガシッ!
幼い赤子の、弱々しい手が、シッカリとあるモノを掴む。
「ちょっ!?エリー!?やめなさい!それを離しなさい!」
母親の焦った声が聞こえる。
だが、エリーは、その手に握っている王冠を離さなかった。
エリーは母親や、他のモノたちに取り上げられる前に素早く作業を行う。
手順は完璧だった。
シナリオの進行上、必要なことだったため。
カランカランッ!
と部品が地に落ちる。
エリーが王冠をいじると、王冠は簡単に分解された。
そして、
《称号『力の器』を獲得しました》
《加護『光の加護』を獲得しました》
エリーの頭に機械音が響く。
なんとこの世界、ファンタジーな世界にありがちな、スキルや称号、加護なんていうモノがあるのだ。
さて、この王冠だが、実はシナリオ上でエリーが分解する。
その手段は主人公たちが発見するのだが、それを見ていた密偵に先を越され、エリーが力を手に入れるのだ。
だが、その時に獲得するのは称号の『力の器』のみ。
主人公たちに邪魔をされ、加護の方を獲得することができない。