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悪役令嬢、天才の巣窟

「2人ともごめんね」


本人確認が終わると、先輩は謝ってきた。

因みに、他の出迎えの先輩たちは後から来る生徒たちのために待機中である。


「え?私たち、何かされた?」


アンナリムは首をかしげる。

ただ、クレアには先輩が謝る理由が分かっていた。


「ああ。構わないわ。寮の全員が出迎えるなんて伝統、ここの人たちの研究に比べる価値もないもの」


「ああ。そう言ってくれると助かるよぉ。変にプライドが高い子がたまにいてさぁ。しかも、そういう子が5番目とか言う微妙な順位で入ってきたりしてさぁ」


「へぇ。大変なんだねぇ」


学生寮には、寮の先輩全員が後輩を出迎えるという伝統がある。

だが、この優秀寮では研究者気質のモノが多く、それを無視したり、気付いてなかったりするモノが多いのだ。


本来なら100人近くは寮に生徒がいるはずなのに、20人以下しか出迎えがいないのは、そういうことなのである。

先輩は頭を押さえ、小さくため息をついた。


「まあ、2人も強制はしないから。でも、出来れば、来てくれると嬉しいな」

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