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悪役令嬢、知らない世界との出会い
「すみません。少しお花摘みに行かせて貰いますわ」
エリーがそう言うと、ロメルは従者の1人に耳打ちした。
すると、その従者は黙って頷き、歩き出す。
これは、エリーをお手洗いまで案内してくれるという意味だ。
マナーとして、そういうことは言わないことになっている。
「あぁ。こんなに近くなら、道は覚えられそうですわ」
エリーが独り言のようにそう言うと、ロメルの従者はまた頷く。
帰りは1人で帰るから、待ってなくていいよと言ったのだ。
それから、色々済ませて、お手洗いから出てくると、
「……だ!」
「でも……!!」
言い争うような声が聞こえた。
エリーは気になって、その音の方へと近づいていく。
「ん。あれは」
言い争っている声が聞こえたのは、貴族の教室とは違う教室だった。
貴族の教室ではないのだから…
「平民の、教室ね」




