閑話、埋め合わせ
スミマセン。
諸事情により、本編開始を水曜日に延期させて頂きます。
「やあ。エリー」
「ご機嫌よう。アロークス」
とある王城の一室。
そこでは、子供たちのお茶会が開かれていた。
「うぅん。ガリタッドのお茶がこんなに美味しくなるなんてねぇ」
「ああ。昔は魚粉を入れるくらいだったのにな」
エリーがお土産として持ってきたお茶をすすりながら、アロークスとロメルが過去を思い出す。
ーーこんなマズいモノを飲ませるなんて!って、アロークスがキレてたわねぇ。懐かしいわぁ。
「ガリタッドは本当に発展したよな。教会でもガリダッド製の製品が色々と使われてる」
「ああ。家の領地でもガリタッドの農具とかよく使ってるよ」
ーーえ?農具の開発とか覚えないんだけど。
サッド家の長男デュランスの言葉にエリーは混乱する。
ーーそんなに凄い農具があるの?ちょっと調べてみないと!
エリーは心の中で、領地経営の計画に農具についてを組み込んだ。
「父様は、ガリタッドのマネをして領地の改革をするとか行ってたなぁ」
「俺は何も聞いていないな。港があるから、ムダなことはせずにはハアピ家に乗っかる、とか行ってたぞ」
「ああ。それはこっちも同じだな。下手なことをしてハアピ家の反感は買いたくない、っていう方針を聞いたぞ」
クイフ、ターリル、ガリドルが、それぞれの家のことを話す。
他の家の者にそんなことを話すなど普通は許されないのだが、友人ということでどうにかなっている。
「……で、そろそろお二人は震えが収まりまして?」
ここに居るメンバーたちにある程度話が聞けたので、奥に座っているモノたちに話を振る。
そこにいるのは2人の令嬢で、
「ひゃ、ひゃい!こ、こここ、このような場所にお招きいたでゃき、みゃことに光栄でしゅ!!」
「お、おおお、おみゃねき頂きありがとうございまシュ~!!!!」
最後の方は頭がパンクして煙が出たみたいになっている。
さて、この2人が誰かというと、少し時を遡り、
少し前。
パーティーで喧嘩をして、エリーに言い負かされた2人の令嬢がいた。
その令嬢たちの家に貸しを作ることを条件としてパーティーで友達と宣言する予定だったのだが、エリーが襲われたことによってパーティーに出れなくなってしまった。
その埋め合わせが、今回の重要人物大量のお茶会。
下手なパーティーでお友達と言うよりも、リターンはかなり大きい。
まあ、そのリターンを得るには頑張りが必要なのだが。
「大丈夫ですの?休みます?」
「い、いえ!大丈夫でしゅ!」
「お、お気遣いありがとうございましゅ!」
ーー最後は必ず噛むのね。
エリーはその様子に苦笑しながらも、少し心が穏やかになる。
心が穏やかになるのは他のメンバーも同じようで、皆温かい笑みを浮かべている。
………いや、数人が、黒い笑みを浮かべているような気がしなくもないが。
ーーうわっ!あの顔、獲物を見てる顔だわ!流石にここで家を潰されても困るし、ちゃんとフォローしましょう!




