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悪役令嬢、左手の痕
夜。
いつもなら、エリーはクラウンの拠点に行ったりする時間。
だが、今日のエリーは違った。
ベットに座り、左手を眺めている。
「……」
エリーは無言で、その左手にある火傷の痕のようなモノに触れた。
とくに、そこが痛むわけではないが、気になることがあったのだ。
《加護》
《・慈悲の加護》
痕に触れると、こんなモノが出てくる。
エリーは、コレが気になっていたのだ。
「気になっているようねぇ」
後ろから、突然女性の声が聞こえた。
エリーは右手にナイフを隠し持ちながら振り返る。
「あぁ。そんなに警戒しないで。私は、ただの悪魔だから」
そこにいたのは、全身黒く、角が生え、翼を持った人型の生物。
まるで、その姿は、彼女が言うように悪魔のよう。




