650/3881
悪役令嬢、味わって逝きなさい
「お、おい。何だよそれ。何なんだよ!!」
『脳』の慌てたような声が響く。
エリーはそれに、腕を振りかぶることで応えた。
「私の本気、味わって逝きなさい」
「お前は、お前は何なんだよぉぉぉ!!!」
エリーは拳を突き出した。
圧倒的なレベルを持つエリーから放たれる拳は、到底『脳』が認識できる速度を超えており、何をされたのかも分からず、
ドゴォォォォンッ!
屋敷の壁と共に消滅した。
ちなみに、エリーは気付いていなかったが、まだギリギリ生きていた『右足』も一緒に消滅した。
「私が、何か?私は、」
ーー悪役令嬢になるはずだった、
「闇の女王よ」
エリーは消え去った『脳』に言い放った。
壊れた壁から部屋へ差し込む日差しが、まるでエリーの言葉を肯定するように降り注いだ。




