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悪役令嬢、世界の闇をかけて
「お前が噂の、毒龍の生き残りか」
入れ墨の男が、『右足』の言葉を聞いて視線を鋭くする。
エリーはそれに、少し迷った後、
「残念ながら、それはブラフだ」
「は?ブラフだと!?だったら、だったらお前は何だって言うんだ!!」
エリーは真実を教えることにした。
ーーどうせ殺すか殺されるかなだし、教えちゃってもいいでしょ。
「我が名はクラウン。全ての闇を支配するモノだ」
「クラウン!?おいおい。お前ら、毒龍と手を組んでやがったのか!!」
入れ墨の男は、驚きを隠せない。
火傷蜥蜴の認識では、クラウンと毒龍は争っているということになっていたのだ。
だが、エリーは首を振る。
ここまで教えたし、全部教えちゃおうという考えである。
「手を組んでいたのではない。我らが毒龍を操っていただけだ」
エリーはそう言って肩をすくめた。
その時に、ふと会場へ意識を向け、違和感に気付いた。




