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悪役令嬢、正体を明かす
ビシュビシュビシュッ!
激しく噴き出した血が、床や壁、さらには天井までも赤く染める。
「は?」
それを見て、入れ墨の男は唖然としていた。
なぜなら、
「ああ。あなたたちは生き残ったのね」
「う、嘘だろ?」
生き残ったのが、たった2人だけだったからだ。
その2人とは、入れ墨の男と、その隣にいた金髪の眼帯男。
「あぁ。でも、そっちは放っておけば死にそうね。……姿が見られないようにしておきますか」
しかも、金髪の眼帯こと、『右足』は瀕死だった。
ほぼ1人と行っても間違いではない。
エリーは、突然のことに戸惑っている入れ墨の男をよそに、着替えを行った。
その着替えというのは、
「あ、あれは、『左足』と一緒にいた、」
その姿を見て、瀕死の『右足』は、目を見開く。
彼の目に映るのは、黒いコートを着た鳥の仮面だったから。




