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悪役令嬢、私の正体は
「お前、なんでそれを知ってやがる?」
入れ墨の男は睨み付けながら尋ねてきた。
エリーはそれに、なんと言うことはなさそうな顔で応える。
「あら?幹部を2人ほど失った組織を、どうして知らないと思いますの?」
「っ!?そこまで知ってやがるのか」
入れ墨の男は、目を見開く。
それから、少し落ち着いたようで1度椅子の背にもたれかかり、小さくため息をついた。
「………お前、何者だ?」
入れ墨の男はどう答えるべきか迷う質問をしてきた。
普通に答えるとしたら、公爵家の令嬢。であるが、
「お前、ただの公爵家の令嬢じゃねぇだろ」
と、言われたらそう答えるのは難しいのだ。
しばらく入れ墨の男を観察した後、エリーはあることに気付いた。
「……あら?増援を送らなくていいのかしら?」
「ん?何を言ってるんだ?」
入れ墨の男は不思議そうな顔をする。
ーーこの人たち、会場の部下が制圧されていることに気付いてないのね。




