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悪役令嬢、口調を崩す
「随分と素直に来たな」
「そう?身分的に私が行かないわけにはいかないから、普通だと思ったんだけど。それに、行かなかったら行かなかったで、今度は普通に処刑されそうじゃない」
屋敷の奥へ連れて行かれる最中、エリーを案内する男が意外そうに言ってきた。
エリーはそれに、砕けた口調で応えた。
「ん?お前、そんな口調だったか?」
男は意外そうな顔で問いかけてきた。
エリーは、それに素直に応える。
「どうせ、私がこれからボスとか言うのにあったら、今まで通りに行くことはないでしょう?死ぬ可能性も高いわけだし。……まあでも、」
「でも?」
「いや、何でもないですわ」
男は何なんだとエリーを見つめるが、エリーは素知らぬ顔。
ーーでも、私があなたたちを全滅させる可能性の方が高い。とか、言えないわねぇ。
男は何が言いたかったのか気になったが、残念ながら(?)それを問い詰める時間はなくなった。
男は、表情を引き締め、
「ここだ。この部屋に、ボスがお持ちだ」




