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悪役令嬢、罠にはまる
「動くなぁ!!」
男の低い声が響く。
エリーたちは何事かとそちらへ視線を移した。
「っ!そうきましたのねぇ」
エリーはそこにいた人間を見て、表情を引きつらせた。
そこにいたのは、
「ロメル様!」
「お前!何のつもりだぁ!!」
第1王子のロメルが、大柄な男に捕まっていた。
大柄な男は鎧を着ており、ロメルの護衛をしているモノだったことが分かる。
「うるせぇ!近づくな!近づいたら、こいつをぶっ殺すぞ!!」
男はそう言って、ロメルの首へ剣を当てた。
これで、貴族たちは何も言えなくなる。
下手なことを言ってロメルが殺されでもしたら、自分の首が飛びかねない。
何も言えずに男を睨むだけの貴族たち。
その貴族たちを見て、男は満足そうに頷いた。
それから、
「エリー・ガノル・ハアピを出せ!そいつを渡せば、こいつは解放してやる!!」




