629/3881
悪役令嬢、罠へ飛び込む
「本当に、いいんだね?」
「ええ。パーティー。行かせて頂きますわ」
パーティー当日。
エリーはどうにか父親を説得し、パーティー参加の許可を得た。
ガタゴトと馬車に揺られ、目指すのは首都にあるサッド家の屋敷へ。
エリーはその馬車の中で、これからどんなことが起こるのかと屋敷へ思いをはせていた。
「ん。見えてきたよ」
窓から外を眺めていたバリアルが、屋敷を発見した。
エリーも窓から外を見てみた。
「あれは、アロークスの馬車でしょうか?もう来てるんですのね」
エリーは屋敷に泊められた馬車を見ていく。
そうしていると、1つ不自然な馬車を発見した。
ーーあれは?
馬車の近くで、黒ずくめのモノがウロウロとしている。
十中八九火傷蜥蜴の手のものであろうと考えた。
ーー油断は出来なさそうね。
エリーは覚悟を決め、罠へと自ら踏み出すのだった。




