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悪役令嬢、知られてしまう
「………ほぅ」
入れ墨の男は、興味深そうにサッド公爵たちの話を聞いた。
その顔は、話が進みにつれて笑みが深まっていく。
「エリー・ガノル・ハアピか」
その名を呟き、入れ墨の男は腰のナイフを抜いた。
それから、そのナイフを机に、
ドンッ!
と、力任せに突き刺し、
「よし。そいつ、殺してやろう」
「「は??」」
サッド公爵たちの顔に、困惑の色が浮かぶ。
なぜ、この入れ墨の男がエリーを殺すというのか。
「加護を2つ持って、いい気になってるんだろうなぁ。俺がそいつを、恐怖のどん底に陥れ、泣いて許しを請う様を見せてやるよぉぉ!!」
入れ墨の男には、加護を2つ持つエリーが気に食わなかったらしい。
これは、実は3つなんですと言ったら更に殺害意欲が高まりそうだ。
因みに、この入れ墨の男こそ、火傷蜥蜴のボス。
『脳』と呼ばれ、恐れられている存在である。




