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悪役令嬢、回復困難
「毒だと!?」
毒という言葉に、医師だけでなく、野次馬となっていた他の貴族たちもざわついた。
もし、エリーが食べなければ、自分たちが食べていた可能性があるからだ。
「解毒をしろ!」
先ほどまでは見かけなかった、小柄な初老の老人が声を張り上げる。
すると、医師たちがそれに従って動き出した。
初老の老人。
それは、この応急の医師で最高の位置に君臨するモノ。
宮廷医師長である。
「『ヒール』『ヒール』」
「うそだろ。魔力中毒薬が使われてる!?」
回復魔法を使って時間を稼ぎつつ、毒の成分を調べてそれの解毒薬を作る。
予定だったのだが、ここで問題が起きた。
魔力中毒薬を打ち消す効果のある薬が、今の状況で存在していないのだ。
宮廷医師長は国王に頭を下げる。
「王よ、申し訳ございません。通常の治療法では、エリー様を助けることはできません」
「通常の方法でなければ助けられるのだな?では、資源を惜しまずに使え!エリーを必ず救うのだ!」
「はっ!」




