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悪役令嬢、クッキーをパクッ!
「エリーか。随分と成長したな」
国王はそう言って笑みを浮かべる。
すると、父親がエリーの肩を叩く。
「エリー。ご挨拶を」
その言葉を聞き、エリーは軽く深呼吸。
そして、覚悟を決めて、
「ごきげんよう。陛下。私、エリー・ガノル・ハアピでございましゅ」
甘噛み。
失敗ではあるモノの、十分許容範囲だ。
「ふはは。ここまでできるとは、随分と優秀なようだな」
王は笑う。
父も笑みを浮かべているので、成功したとエリーは確信した。
ということで、エリーは国王の心が寛容なうちに行動を始める。
「あら?美味しそうなクッキー。陛下。1枚つまんでもよろしいでしょうか?」
「ん?ははは。食欲には勝てんか。良いぞ。1枚などと言わず、5,6枚食べると良い」
「じゃあ、お言葉に甘えて」
エリーは近くにあったクッキーを数種類つまみ、ヒョイッ!と口に入れた。
「あぁ~。おいひぃで……ガハッ!」




