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悪役令嬢、妹の予感

「なるほど。お父様が好きなように部屋をまわって、先に出会った方と子供を、といった感じでしょうか?」


エリーは少しあきれたような声で確認する。

キシィは、その通りだと頷いた。


「変な制度ですわねぇ。お父様、優柔不断なのかしら?」


エリーは苦笑した。

そんなどちらにしようかな、などせずに、自分で選べないのかと。


「いや。これは、この国の貴族でやる人は多いわよ。エリーに教えなかったかしら?」


「教えて頂けてないですわね。そんな伝統もあるのですかぁ」


くだらないと考えていたが、伝統と言われると流石に無視できない。

エリーがあきれながら遠い目をしていると、


コンコンコンッ!

「エリー。いるかな?」


聞き覚えのある声が聞こえた。

エリーたちは顔を見合わせ、薄く微笑む。


「いますわ。どうぞ、お父様」


「ああ。失礼す、……キシィ。ここに居たのか」

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