597/3881
悪役令嬢、妹の予感
「なるほど。お父様が好きなように部屋をまわって、先に出会った方と子供を、といった感じでしょうか?」
エリーは少しあきれたような声で確認する。
キシィは、その通りだと頷いた。
「変な制度ですわねぇ。お父様、優柔不断なのかしら?」
エリーは苦笑した。
そんなどちらにしようかな、などせずに、自分で選べないのかと。
「いや。これは、この国の貴族でやる人は多いわよ。エリーに教えなかったかしら?」
「教えて頂けてないですわね。そんな伝統もあるのですかぁ」
くだらないと考えていたが、伝統と言われると流石に無視できない。
エリーがあきれながら遠い目をしていると、
コンコンコンッ!
「エリー。いるかな?」
聞き覚えのある声が聞こえた。
エリーたちは顔を見合わせ、薄く微笑む。
「いますわ。どうぞ、お父様」
「ああ。失礼す、……キシィ。ここに居たのか」




