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悪役令嬢、出発する
「なぜあんなにきつく縛ったの!?」
母親の説教が続いている。
ただ、エリーはそろそろ時間的にまずいと判断して、その説教を止めさせることにした。
「お、お母様。そろそろ時間ですわ。もう1度ドレスを着ないと」
「あ、ああ。そうね。……ハァ。まったく」
今度はメイドではなく母親が着付けをしてくれた。
苦しくない程度に着付けをされ、エリーは一安心。
だが、そんな安心もつかの間。
時間が迫っているため、急いで出発することになった。
エリーは、慌てているメイドたちに見られないよう、2つの髪飾りを髪の中に埋めた。
「エリー行くわよ!」
「はぁい!」
元気の良い返事をして、母親の後ろをついて行く。
外に出ると、大きな馬車が止まっており、エリーたちはそれに乗った。
そして、少し経つと、
「うわぁぁ!!」
エリーの目の前には、大きな建物が待っていた。




