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悪役令嬢、貿易締結してやんよ
「……売り上げの1割か」
「港の、と限定させて頂きますが」
エリーと国王はお互いの顔を見た。
数秒見つめ合ってから、国王がスッと左手を差し出す。
「いいだろう。その条件で、貿易成立だ」
「ふふっ。これからよろしくお願いしますね。あっ。土地の件もお忘れなく」
エリーは、国王の手を握り返した。
貿易が成立したのである。
エリーは、それから手を離し、父親の方に目を向ける。
父親の顔には、国王たちには見えないようになっているが、嫌らしい笑みが浮かんでいた。
「さて、それでは次は……」
父親は新たな交渉を始めた。
ここまでエリーと国王の会談を観察して、国王の性格はおおまかにつかめてたので、交渉を有利に進めるのは容易なことだった。
……。
数時間後。
「……いやぁ。良い会談をさせて貰いました」
「な、なぜこんなことに」




