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悪役令嬢、え?転移陣しかないんですか?大変ですね
「貿易か。とは言っても、転移陣の現在の状況を考えると、変更点は何も無い気がするが」
王が難しい顔をして言う。
父親は、悩むように手を顎に当てた。
だが、エリーには分かる。
それは、悩んでいるのではなく、笑みを隠しているのだということが。
「ふむ。転移陣しか貿易方法がないから、困りますねぇ。なぁ。エリーもそう思うダろぉ?」
「ええ。困りますわね。私たちと違って、転移陣しか貿易方法がない方々は困りますよねぇ。私たちと違って」
問われたエリーは微笑んだ。
エリーも、父親に乗ることにしたのだ。
「……ふむ。かなり煽られているな。で?何が言いたいんだ?」
国王はあきれた顔をしながら尋ねてくる。
父親は、胸を張っていった。
「我が娘が説明しましょう」
ーーいや。私かい!
エリーは片眉をピクリと反応させたが、すぐに気持ちを切り替える。
「分かりましたわ。お父様の頼みとあれば断れません。シッカリとご説明致しましょう」




