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悪役令嬢、無詠唱できません

「ふぅぅぅぅん!!!!!」


エリーは気合いを入れた。

手を前に突き出す。


………。

シィ~ン。


「何も、起きませんね」


「そ、そうね。何やってるのかと思ったけど、無詠唱魔法をやろうとしてたのね。お手洗いに行きたいのかとお思ったわ」


エリーの顔が、そんなバカなと言いたげに歪んだ。

そして、


 ーー二度と気合いなんて入れないわ!!!!

と、誓うのであった。


「おっと。もう時間ね。今日は終わりましょうか」


「……はい。ありがとうございました」


「明日からもやるから、忘れずにこっちに来てね」


「はい。よろしくお願いします。お母様」

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