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悪役令嬢、バレてしまったならしょうがない。
「え?どういうことぉ?」
間に入っているクラウンの斧を警戒しつつも、『左足』はエリーに尋ねてくる。
エリーは天を仰ぎ、全力で思考した。
ーーこれは嘘がつけるような状況ではないわね。でも、本当のことを全て話して良いモノかしら?いや、まだこの子は信用できない。
エリーがこう考えるまでに掛かった時間は1秒。
「我は、」「す、すみませんクラウン様!!思わず言ってしまいました!!」
エリーは頭痛がした。
もう計画が総崩れである。
「えぇ?毒龍じゃなかったのぉ?」
『左足』の視線が鋭くなる。
エリーは、逃げられないと判断して、傷が深くならない手を探すことにした。
「……コイツの言葉の通り、我は毒龍の者ではない。我が毒龍と名乗ったのは、火傷蜥蜴をだますための罠だ」
「そ、そうだったのかぁ。すっかり騙されてたよぉ」
エリーは試すような目で『左足』を見る。
その目は、その程度で自分の下につくつもりなのかと言っているように見えた。




