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悪役令嬢、兄を助ける
「なぜこの程度のこともできないのですか!」
エリーが盗み聞きした限り、兄、バリアルは礼儀作法ができなくて怒られているようだ。
ただ、問題なのは説教が1時間近く続いていることだと思われる。
ーーそんなに怒る時間があるなら、その時間を練習時間につかえばいいんじゃないかしら。
と、エリーは思った。
流石に兄がかわいそうになってきたので、エリーは救いの手を出すことにした。
「お兄ちゃん。どうしたのぉ?」
エリーは何も分かってないよ。
という顔で、部屋に入った。
「あっ!?エ、エリー」
目に浮かべていた涙を拭って、兄は笑顔を作る。
それを見た、怒鳴っていた女性は、ため息をついてエリーを睨む。
「あら、エリーはなぜここに?」
エリーを呼び捨てにするこの女性を、エリーはゲーム知識から思い出した。
この女性はキシィ。
エリーの父の側室の1人であり、エリーの教育係となる人だ、
極度の平民嫌いでもある。
エリーはこの女性に教育を受けたせいで、平民である主人公にきつく当たってしまうのだ。




