悪役令嬢、洗脳なんて知らない
「そういえば、洗脳なんてスキルどこで聞いたんだ?」
ふと思い出したようにターリルがエリーを見て、聞かれたくなかった質問をしてきた。
エリーは、持っていることを悟られないような返答を心がける。
「誰だったかは覚えていませんわ。おそらく、私が管理している村の方で聞いたのだと思うのですが」
「ふぅん。………お前が持ってたりとかするのか?」
笑顔を浮かべて返答したエリーに、究極の質問をターリルが投げかけてくる。
ーーぬぉぉお。何という質問!直球過ぎて、ごまかせないわ!!
エリーは心の中で焦りながら、穏やかに返した。
「そんなスキルありませんわ。というか、手に入れようにも私が洗脳なんてする相手が………」
そこまで言って、エリーは固まった。
いない。と続けたかった。
だが、いないわけがない。
エリーは友人に王家も教会のモノも公爵家のモノもいるし、自分の家族も公爵家だ。
洗脳できたら便利なモノたちは、エリーの周りに沢山いる。
エリーが悩みながら3人の方を見ると、3人とも微妙な顔をしていた。
「まあ、私が洗脳できるなら、とっくの昔に私と王族方との婚姻が決まってますわ」
エリーはそう言って肩をすくめる。
軽い発言だったが、思ったよりもその発言の効果は大きく、3人とも納得したような表情へと変化した。




