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悪役令嬢、感謝される
エリーは父親から宝物についての講習を受け、また部屋に戻った。
そして、寝たと思わせ、親が去ったところで外に出る。
目的地はもちろん、昨日会った元魔力狂いの少年の居る場所。
目的地まではすぐに着いた。
「起きてるかしら?」
エリーが隠し扉だった場所を通りながら呟く。
すると、独り言が聞こえたようで、答えが返ってきた。
「起きてるよ。来てくれたんだね」
そう言って少年が歩いてきた。
そして、近くまで来たところで、
「助けてくれてありがとう!」
土下座しそうな勢いで頭を下げた。
「え、えぇ。死ななくて良かったわ」
突然だったため少し戸惑ったが、すぐに返した。
ついでに頭を上げるようにも言うが、少年はなかなか頭を上げない。
「俺、毎日拷問みたいな事をされたりして、本当に大変だったんだ。本当に、本当にありがとう」
少年は目に涙を浮かべながらお礼を言う。
なぜかは分からないが、エリーは少し後ろめたい気持ちになった。
まあ、理由は強烈なハラパンを何度も決めたからなんだが。




