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悪役令嬢、お宝を知る
「これは、今から500年前に描かれた絵画でね。今ではかなり高額になっているんだよ」
そう言いながら、父親は金の額縁に入った果物の絵に触れる。
額縁から値が高いと言うことがにじみ出ていた。
「そして、これが6000年以上前のツボでね、さっきの絵画とは比べものにならないような値段がするんだよ」
今度は長細いツボを指さして言う。
金属は使われていないが、歴史があることが感じられた。
「さて、それで、ここで1番のお宝なんだけど」
父親はそこまで言って、辺りをぐるりと見回した。
そして、足下のコインを拾い上げ、宝の山へ投げる。
ガラガラガラガラッ!
投げた場所から金の雪崩が起こった。
「あぁ!もったいない!」
エリーはそう言って焦ったが、違和感を感じた。
いつまで経っても、雪崩がやまないのだ。
「ふふふ。これが、ここで1番の宝。触れたモノを複製する、倍化のコインだよ」
投げたコインを拾って、父親はにやりと笑った。
ーー何そのお宝!?最強過ぎない!??




