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悪役令嬢、貸しにする
「……分かった。それでいい」
「僕もそれで構わない」
2人とも貸しを作ることを了承した。
エリーがまた2人の親の方を見ると、今度は少し困ったような顔をしていた。
ーー金を払うだけなら簡単だけど、借りを返すときには、こちらが困ってないといけないからねぇ。私たちが困ることがあるのかって言うことがまず問題よね。
エリーは、他家に貸しを作ることで自分の有能性を示しておいた。
エリーの目標は、夜の活動のために、目立たずに行動すること。
だが、目立たなすぎると、父親から行動を制限される可能性がある。
だから、エリーは貴族間だけで少し目立つことにしたのだ。
貴族間だけで目立っても、民衆からは目立つことが少ない。
ーーそれなら、民衆から騒がれることもなく、今のような状況ではなくなるはず。
エリーはそう考える。
が、貴族から目立てば暗殺もあるので、全く問題がないわけではない。
まあ、子息関係とエリーの中は良好なことが多いため、そこまで頻度は高くないだろうが。
………。
その日の夕方。
「エリー様。ターリル様とガリドル様がいらっしゃいました」




