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悪役令嬢、売ってしまった背景を話す
「まあ、今のままもうけることができれば、あなたの言うとおり80兆くらい数年で返せると思いますわ。ただ、私はあの事業がこのまま上手く行き続けるとは思えませんが」
エリーはそう言って、肩をすくめる。
デュランスはそこに食いついた。
「なんでだい?今の状況だと、普通に行けそうな気がするけど」
「簡単ですわ。ハアピ家がサッド家に売却したのは、移動用の船の事業。そして、その業界には敵がいるんですの」
敵。
という言葉の意味をデュランスは考える。
そして、その存在を理解して顔をゆがめた。
なぜならそれが、
「教会かぁ」
教会という、強大な組織だからである。
デュランス1人では、どうやっても相手にできないような組織。
因みに、公爵は教会と競争になってしまうことは理解している。
だが、エリーとの敵対関係で協力しているので、そこまで亀裂は生まれないだろうと考えているのだが、
(旅行用の船を持ってたことって、私を教会が敵視してた理由の1つなのよねぇ。それが私の手からはなれば、私への気持ちは薄れていくはずだし)




