悪役令嬢、借金させて潰す
「借金?」
何を言っているんだという顔で、デュランスはエリーを見つめる。
貴族が借金をするのはよくあることだ。
少し高いものを買うときにはよく借金をする。
それでも、貴族たちの得られる収入はかなり高いので、大抵はすぐに返し終わる。
だが、今回は事情が違った。
「借金、80兆ほどでしたかしら?」
「80兆、かぁ。そんな高額な借金、なんでこの家が………え?もしかして?」
80兆というのは、何百年かけても得られないような金額である。
そんな金額の借金を無計画に公爵家がやるとは、デュランスには思えなかった。
だが、そこである買い物を思い出した。
その買い物は、今回のパーティーに関わるモノで、
「そう。私の事業を100兆で買って下さったおかげで、そちらはかなり無理な借金をされたようですね。そんなに無理をしなくても良いと思うのですが」
エリーはそう言いながら肩をすくめる。
デュランスは、そのエリーの言葉に反論する。
「たとえ80兆の借金があったとしても、それ以上の収益があるから買い取ったんでしょぉ?今は借金が邪魔になるだろうけど、数十年後には利益に変わってるんじゃない?」




