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悪役令嬢、同じ提案をする
エリーは、自分の家を潰したいデュランスに2つの提案をした。
1つは、教会を潰したかったイルデにしたモノと似たようなモノである。
潰すんじゃなくて、自分で操れ。
というヤツだ。
ただ、もう1つの提案はイルデにはしなかったモノ。
それが、
「本当に潰したいのなら、何もしなければ良いですわ。そうすれば、この家は勝手に潰れてくれるはずですの」
「……は?」
デュランスは目を丸くした。
何もするなって言われれば、それも当然である。
「いやいや、何を言ってるんだい。エリーちゃん。俺が手を出さないと、この家は腐り続けて民たちにも被害が出ちゃうんだよぉ」
口調は軽いが、焦っているのはよく分かった。
協力してくれそうだったエリーが、思ったより頭が良くない可能性が見えてきてしまったのである。
「はぁ。ごめんねぇ。エリーちゃんにはこの話、早すぎたかも知れないねぇ。今日のことは忘れて」
そう言って、デュランスは去ろうとする。
それを、エリーは一言で止めた。
「デュランス。サッド家が大量の借金を抱えていることをご存じですの?」




