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悪役令嬢、サッド公爵家の息子と話す
「様はいらないよ。呼び捨てで良いさ」
エリーの目の前の、黄色い髪の少年は言う。
彼はデュランス。
次期サッド公爵家の家主だ。
つまり、現公爵の息子でもある。
そんな彼に、エリーは呼び出されたのである。
警戒しないわけにはいかない。
が、呼び出しを断るわけにもいかない。
そのため、エリーは警戒心全開でやってきていた。
「それではデュランス。私をこんな所に呼び出して、何のおつもりですの?」
「……うぅん。ここで話す内容でもないし、僕の部屋に来てよ」
デュランスはそう言って、屋敷へと歩く。
全くエリーの事情など考えていないような雰囲気。
エリーは警戒しながらその後をついて行った。
因みに、エリーはデュランスのことを警戒している理由は、サッド公爵の息子だからと言う理由だけではない。
エリーが警戒する理由は、
「ねぇ。エリーちゃん。僕と一緒に、この家を潰さない?」




