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悪役令嬢、着替えている最中
「せっかくのドレスが汚れてしまいましたわ」
メイドたちに着替えさせられながら、エリーは気落ちした声で呟く。
すると、素速くメアリーはフォローした。
「大丈夫ですよ。エリー様。きっと、公爵様が今回のお礼もかねて、素晴らしいドレスを送って下さるはずです」
その言葉に悪気はなかった。
だが、エリーにとってはかなり問題の発言である。
ーーお詫びでドレスは困るんだけど!今回のお礼もかねて色々ふっかけるつもりだったのに!メイドにも聞かれちゃってるし、ドレスだけで解決できると思われてしまうわ!
エリーは思考を巡らせ、自分の有利な方向になるよう発言をする。
「ふふふっ。今回私は沢山の貴族の方々を救ったんですわ。それをドレスで代えようとしたら、どれだけ高いものになるか分からないですわ」
「ああ。そうですね。では、ドレスはお礼の品の1つという扱いになるんでしょうか?」
「そうなると思いますわぁ」
エリーは微笑みながら言った。
その微笑みは、新しいドレスに期待する表情に見えた。
が、全くそんなことは思っていない。
ーー上手く方向を変えられた!ナイスよ私!




