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悪役令嬢、待っていてほしい
申し込まれる婚約。
それはクレアも受け入れることはない。
そこまでは同じなのだが、
「そんなに申し込まれましても私はたかが平民。立場上お断りもできませんし、少しお時間をいただいてもよろしいでしょうか?皆様にふさわしい人間となってまいりますので」
「「「「っ!?」」」」」
「も、もちろん待つとも」
「君のためなら何年でも待つ」
待っていてほしい。
クレアはそう伝える。
今彼らを受け入れるのは無理だが、
「何年、何十年かかったってかまわない」
「君の帰りを、待ち望んでいるよ」
どれだけかかるかは分からない。
それでも彼らはマテル。
待ち望んでいた彼女と結ばれる時間は、いつまでだって待っていられる。




