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悪役令嬢、全ては掌の上
エリーという存在が持つもの。
それは現在、ほとんど何もないと言って良い。
友人たちは笑う。
「財力も権力も影響力も」
「ほとんど何もないね」
「これでは余計な足かせが増えただけか?」
「そこまでかは分からないけど。求めてたものは何もないだろうね」
彼らが言うように。
求めていたものはない。
逆に、知りもしない婚約者たちという足かせが増えただけである。
「最初から、このつもりだったの?」
「ええ。その通りですわ」
カヤの質問。
それにクレアはうなずく。
全ては掌の上。




